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2020年10月19日月曜日

穴の真理はすべてである

まったく誤解があるようだがーー別の人だがーー、ラカンの真理はすべてではない(非全体pastout)ってのは、象徴界からみたらそうだけど、現実界からみたら、穴が絶対的真理だよ、享楽の穴が。



非全体Pastoutというのは要するに表象はすべてではない(表象は仮象)ということであり、こんなことはニーチェがすでに言っている(参照)。

現実界の穴とは別名去勢のことで、まぎれようもなくこれが真理だとラカンは言っている。


要するに、去勢以外の真理はない。En somme, il n'y a de vrai que la castration  (Lacan, S24, 15 Mars 1977)

享楽は去勢である。人はみな知っていることだ。la jouissance est la castration. Tout le monde le sait.(Lacan parle à Bruxelles, 26 Février 1977)




以下、確認の意味で注釈列挙。


Ⱥ  = (-φ)  = (-J) = a

疑いもなく、最初の場処には、去勢という享楽喪失の穴[Ⱥ]ある。Sans doute, en premier lieu, le trou du manque à jouir de la castration. (Colette Soler, Les affects lacaniens, 2011)

われわれは去勢と呼ばれるものを、 « - J »(斜線を引かれた享楽)の文字にて、通常示す。[qui s'appelle la castration : c'est ce que nous avons l'habitude d'étiqueter sous la lettre du « - J ».](Lacan, S15, 10  Janvier  1968)

(- φ) [le moins-phi] は去勢 castration を意味する。そして去勢とは、「享楽の控除 une soustraction de jouissance」(- J) を表すフロイト用語である。(J.-A. MILLER , Retour sur la psychose ordinaire, 2009)

対象aは穴である。l'objet(a), c'est le trou  (ラカン、S16, 27 Novembre 1968)


対象aは穴以外に、穴埋めの対象aと残滓の対象aがあるので注意(参照)。