このブログを検索

2021年2月19日金曜日

唯一の真理

 真理はないって言ったって、去勢だけは唯一の真理なんだよ、少なくともフロイトラカンにとっては。


要するに、去勢以外の真理はない。En somme, il n'y a de vrai que la castration  (Lacan, S24, 15 Mars 1977)

享楽は去勢である。la jouissance est la castration. (Lacan parle à Bruxelles, 26 Février 1977)


これは既にセミネールⅩにある。




去勢(-φ)を軸に、


自己身体[corps proper]

原ナルシシズム[narcissisme primaire]

自体性愛 [auto-érotisme]

自閉症的享楽[jouissance autiste]



自閉症だけ「享楽」がついているが、全部につけたらいいのであり、


自己身体の享楽[jouissance du corps propre]

=原ナルシシズム的享楽[jouissance narcissique primaire]

=自体性愛的享楽[jouissance  auto-érotique]

=自閉症的享楽[jouissance autiste]


となる。





これがラカンの本来の享楽であり、フロイトの自体性愛的欲動。


自体性愛的欲動は原初的である。Die autoerotischen Triebe sind… uranfänglich(フロイト『ナルシシズム入門』第1章、1914年)



自体性愛と自閉症が等価なのは、自閉症概念造語者ブロイラーが既に初めから言っている(現在のDSMの「自閉症」とは異なる)。


自閉症 Autismus はフロイトが自体性愛 Autoerotismus と呼ぶものとほとんど同じものである。Autismus ist ungefähr das gleiche, was Freud Autoerotismus nennt.(オイゲン・ブロイラー『早発性痴呆または精神分裂病群 Dementia praecox oder Gruppe der Schizophrenien』1911年)


ーーブロイラーはフロイトのAutoerotismusからエロを取っただけ。



去勢とは自己身体と見做していたものが去勢されるわけで、自体性愛=自己身体の享楽=享楽自体の対象は「去勢された自己身体」。


これが原ナルシシズムリビドーであり、愛の欲動でありつつ死の欲動だ(参照)。