真理はないって言ったって、去勢だけは唯一の真理なんだよ、少なくともフロイトラカンにとっては。
要するに、去勢以外の真理はない。En somme, il n'y a de vrai que la castration (Lacan, S24, 15 Mars 1977) |
享楽は去勢である。la jouissance est la castration. (Lacan parle à Bruxelles, 26 Février 1977) |
これは既にセミネールⅩにある。 |
去勢(-φ)を軸に、 自己身体[corps proper] 原ナルシシズム[narcissisme primaire] 自体性愛 [auto-érotisme] 自閉症的享楽[jouissance autiste] |
自閉症だけ「享楽」がついているが、全部につけたらいいのであり、 |
自己身体の享楽[jouissance du corps propre] =原ナルシシズム的享楽[jouissance narcissique primaire] =自体性愛的享楽[jouissance auto-érotique] =自閉症的享楽[jouissance autiste] となる。 |
これがラカンの本来の享楽であり、フロイトの自体性愛的欲動。 |
自体性愛的欲動は原初的である。Die autoerotischen Triebe sind… uranfänglich(フロイト『ナルシシズム入門』第1章、1914年) |
自体性愛と自閉症が等価なのは、自閉症概念造語者ブロイラーが既に初めから言っている(現在のDSMの「自閉症」とは異なる)。 |
自閉症 Autismus はフロイトが自体性愛 Autoerotismus と呼ぶものとほとんど同じものである。Autismus ist ungefähr das gleiche, was Freud Autoerotismus nennt.(オイゲン・ブロイラー『早発性痴呆または精神分裂病群 Dementia praecox oder Gruppe der Schizophrenien』1911年) |
ーーブロイラーはフロイトのAutoerotismusからエロを取っただけ。
去勢とは自己身体と見做していたものが去勢されるわけで、自体性愛=自己身体の享楽=享楽自体の対象は「去勢された自己身体」。
これが原ナルシシズムリビドーであり、愛の欲動でありつつ死の欲動だ(参照)。