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2021年3月15日月曜日

311十周年記念のリベサヨ阿呆鳥


歴代の経団連会長は、一応、資本の利害を国益っていうオブラートに包んで表現してきた。ところが米倉は資本の利害を剥き出しで突きつけてくる〔・・・〕

野田と米倉を並べて見ただけで、民主主義という仮面がいかに薄っぺらいもので、資本主義という素顔がいかにえげつないものかが透けて見えてくる。(浅田彰『憂国呆談』2012.8より)



ーーというのはひどく印象的で何度か引用しているが、前後はどう言っていたか、この『憂国呆談』記事自体は消えてなくなっているが、ネット上に長い引用が落ちていたので311の十周年の記念にここに掲げておこう。


浅田の言うように資本主義がいかにえげつないものでもじゃあどうするんだというのがなければ似たようなもんかも知れないが、資本主義の名を出さずにガアガアやっている「リベサヨ阿呆鳥」よりはいくらかましだろうよ



浅田)原子力政策についても、長期的なヴィジョンが示されないまま、関西電力大飯原発の再稼働が なし崩しで行われようとしてる。ぼくは、原発震災を機に脱原発を決断すべきだし、そのためには 犠牲を払う覚悟があるっていう国民が多数派なんだから、この際、退路を断って、すべての原発 を廃炉に持っていくのが最善だと思うよ。ただ、次善の策として、当面の安全性が確保され、 中長期的な脱原発計画が明示されるなら、短期的な再稼働は容認できるとも思う。ところが、 フクシマの事故の検証すらまともに行われず、新しい安全基準をつくるべき原子力規制委員会・ 規制庁さえできてない段階で、野田首相は「絶対に安全だ」と強弁するばかり。しかも、菅前首相 がまがりなりにも示した脱原発の方針には、もはや触れようともしない。これで原発再稼働に突き進む っていうんだから、暴挙としか言いようがないね。原発震災の教訓がこれほど早く忘れ去られるとは。 


田中)東京電力労働組合の新井行夫中央執行委員長が中部電力労働組合の総会で、脱原発を唱えて我々を 裏切った民主党議員には報いをこうむってもらう、東電に不法行為はない、民主党候補を推薦するか 厳密に判断していくと発言したっていうから呆れるよ。出席していた中電の組合員も、どよめいたらしい。 

しかも民主党は、電力総連=全国電力関連産業労働組合総連合で副会長だった参議院議員の 小林正夫を企業団体対策委員長に就任させて媚を売ってる。いやはや。21世紀にもなって、 鉄ならぬ電力は国家なり、と教えられるとは。 


東電は旧国鉄分割・民営化と同様、新社・旧社に分離して、給与体系も一新した新社は関東電力という 社名で供給し、東京電力の執行役員以上は清算会社として賠償業務に当たる。責任の所在を明らかにして、 銀行も応分の負担をして、三方一両損とすべきでしょ。ところが、赤い政治家と揶揄される仙谷由人や 枝野幸男は、1兆円以上の公的資金注入を実施して、東電の議決権の過半数を国が握る時代錯誤な 総合特別事業計画を画策した。一時国有化で銀行の債権を守り、天下りポストを増やし、負担は国民 に押し付ける社会主義計画経済の悪夢だよ。 


その一方で、発送電分離こそ自由競争で料金低下、安全強化、サービス向上を実現する電力改革 だと言われてるけど、疑問だね。市場原理主義の鬼っ子として浮利を追い求め、カリフォルニアに 「無計画停電」の悲劇を生んで、2001年に破綻したエネルギー・IT企業エンロンの二の舞だよ。 


社会基盤としての電力供給や鉄道事業は上下一体を維持したうえで競争原理を働かせないと、 人命に影響する。サッチャー改革後、採算が合わないからと鉄道会社が上下分離したイギリスでは、 列車の運行会社は儲かって、鉄路の保線会社は儲からないから保守・整備に手を抜いて、転覆や 衝突事故が相次いだ記憶を忘れちゃいけないんだ。 

浅田)東電は電気料金を上げる一方でボーナスを含めた社員の年俸を上げるって言うんだから、みんな 呆れるっての(苦笑)。国民がこれほど原発に懲りてるんだから、菅の言うように脱原発を争点にして 選挙をすりゃ、電力総連の支持なんかなくても勝てるって。 


われわれは菅には批判的だった。菅をはじめとする政府中枢の震災当時の対応も、問題だらけだ と思う。だけど、国会東京電力福島原子力発電所事故調査委員会が彼らだけに責任を押しつけるのは おかしいと思うよ。東京電力や、原子力安全・保安院をはじめとする官僚たちが、的確に事態を管理し、 政治家に逐一報告してたら、政治家も「よきにはからえ」ですむ。政治家が脱官僚を唱えてたにせよ、 官僚にはそうする義務があるわけだ。ところが、首相らが危機感をもってヴェントならヴェントを指示 しても、いつまでたっても連絡ひとつないとなれば、そりゃ現場に乗り込むしかないでしょう。東京電力 や官僚機構の責任はどうなったんだっての。 


東京電力が最初、原発を温存しようとしてぐずぐずしてたとか、大事になったら逆に原発を放棄して 退避しようとしたとか、官房長官や経済産業相を含む政権中枢が現にそう感じたって証言してるんだから、 本来は捜査権をもつ機関がとっくに捜査に入ってるべきだと思うよ。 〔・・・〕


浅田)そう、会社と個人の責任を同時に問えるようにすべきだね。今だって、震災発生時の東電の役員は 「運が悪かった」と思ってるだけでしょ? で、こんな不運な災害はもうないんだから、原発再稼働は 当然だ、と。反省のかけらもない。 


田中 )欲しがりません勝つまでは、と戦争に駆り立てた新聞社を含め、日本は誰も責任を負わない国。 野田を礼賛する米倉も、住友化学の代表取締役になってから株価を5分の1にまで下落させた 「傾営者」なのに、日本経団連の会長に再任されたし。 

浅田)歴代の経団連会長は、一応、資本の利害を国益っていうオブラートに包んで表現してた。ところが米倉 は資本の利害を剥き出しで突きつけてくるからね。 


田中)焼け石に水どころかマイナスだったのは明らかなのに、円売り単独為替介入もどんどんやってほしい と言ってる。 


浅田)野田と米倉を並べて見ただけで、民主主義という仮面がいかに薄っぺらいもので、資本主義という素顔 がいかにえげつないものかが透けて見える。国民の多くが望む脱原発が実現しないってのは、日本が 民主主義国である前に資本主義国だったってことだよ。しかし、先鋭な資本主義なら、何十兆円を どぶに捨ててでも早く次の段階に移るべきなんで、それもできないってのは資本主義国としても 焼きが回ってるんだ。再生可能エネルギー開発への投資を見ても、日本は、アメリカやドイツには もちろん、中国やインドにもはるかに後れをとってる。原発に固執する独占資本が恐竜みたいに のさばって、日本資本主義の進化さえ阻害してるわけだ。 (浅田彰–田中康夫『憂国呆談』2012.8より)



なあリベサヨ諸君よ、最低限三つの環で考えなくちゃな





要するに、資本という釈迦の掌の上でいくら騒いでも徒労だよ

それじゃシグマΣという社会の結び目はいつまでも見えてこないよ。

それともそもそも騒ぐのは暇つぶしかあるいは小遣い稼ぎかい?

精神衛生にはいいかもな、善人になった気分になれてさ