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2021年5月4日火曜日

猿の群れの伝染


みんなそれぞれの仕方で猿だよ、

な、お前さん気にすんな、

猿でも群れなかったらそれなりに賢いさ


だれもがひとりひとりみるとかなり賢くものわかりがよい。だが一緒になるとたちまち馬鹿になってしまう。Jeder, sieht man ihn einzeln, ist leidlich klug und verständig; Sind sie in corpore, gleich wird euch ein Dummkopf daraus.(シラー『クセーニエン』ーーゲーテとの共著[Goethe und Schiller Xenien]1796年)


ツイッター装置で言えば、最も大切なのは湿った瞳を交わし合ったり頷き合ったりしないことだよ。


ワイルド猿はこう言っている。


人が私に同意するときはいつも、私は自分が間違っているに違いないと感じる。Whenever people agree with me I always feel I must be wrong. (オスカー・ワイルド『ウィンダミア卿夫人の扇』1892年)


この程度の気合いはないとな、たとえば自分のツイートが大量RTされて流通してしまったらおバカなこと言ってしまったと最低限恥じないとな、猿の群れに伝染してしまったのだから。


浅薄な誤解というものは、ひっくり返して言えば浅薄な人間にも出来る理解に他ならないのだから、伝染力も強く、安定性のある誤解で、釈明は先ず覚束ないものと知らねばならぬ。(小林秀雄「林房雄」)

人が二十年もかかって考えたことのすべてを、それについて二つ三つのことばを聞くだけで、一日でわかると思いこむ人々、しかも鋭くすばやい人であればあるほど誤りやすく、真理をとらえそこねることが多いと思われる。(デカルト『方法序説』)


ま、ブルバキ集団の気合いを持て、とまでは言わないでおくがね。


フランスにブルバキという構造主義数学者集団があった。この匿名集団の内密の規約は、発表が同人にただちに理解されれば己の限界を悟って静かに退くというものであった。出版と同時に絶賛される著者には、時にこの自戒が必要であろう。(中井久夫「書評の書評」)



ここまでいっちゃな、すべての猿には強度の多寡はあれ「名誉欲」ーー穏やかに言えば、被愛欲や承認欲ーーと、肝心かなめの「金欲」があるからな。


とくに現在は新自由主義の時代だからな、米国ネオリベ時代のバイブル曰く、


お金があらゆる善の根源だと悟らない限り、あなたがたは自ら滅亡を招きます。お金が相互取引の手段となることを止めたら、人間は他の人間の道具になります。血と鞭と銃、あるいはドルです。あなたがたは選択しなさいーー他の選択肢はありません。(アイン・ランド『肩をすくめるアトラス』1957年)