「英首相、来年から1.25%の増税を表明-医療・社会福祉改革の財源に」(Bloomberg、2021年9月8日) |
ジョンソン英首相は7日、労働者と企業、株主らを対象とした増税計画を明らかにした。新型コロナウイルス禍の影響で治療を後回しにされた患者の急増に直面する国家医療制度(NHS)への支援や「機能不全に陥った」社会福祉制度の改革の財源に回す。 |
ジョンソン首相によれば、国民保険料は来年から1.25%引き上げられる計画で、主要税率は引き上げないとする保守党の重要な公約を破る格好となる。また配当課税も1.25%増税される方針で、首相は高額所得者には相応の負担を求めると述べた。今回の増税により、今後3年間で360億ポンド(約5兆4660億円)の財源を確保する見通しだ。 |
増税計画は保守党内からも強い反発を招く恐れがある。国民保険料は従来、年金受給者から徴収しないため、すでに一部からは、増税負担は若年層や低所得者層により重くのしかかる可能性があると警戒感が示されている。 |
ジョンソン首相はこうした批判を受け、年金受給対象の年齢にいる労働者を含め、国民保険料を負担するすべての成人労働者を対象に増税すると反論した。 |
いやあジョンソン首相ってとっても慎重派だなあ、まだGDP比債務残高「わずか」100パーセントちょっとで、日本の266パーセントに比べれば雀の涙ほどの借金なのに。
ジョンソンに比べて、日本の政治中枢って大胆だよなあ、国民負担増の話なんか毛ほどもしないでさ。玉手箱でも隠してんだろうか。なんで左翼政党の連中はその玉手箱を追求もせずに、消費税減らすとか、福祉充実とか、ーー国民ひとり当たり20万ばらまくとか言ってるヤツまでいてーー根のところで財政ファイナンス主義の自民党と同調してんだろ?
そもそもジョンソン首相って、日本の財政的マキャベリスト大前研一とか小幡績とかと同じ穴のムジナなんだろうか。
「日本が財政破綻する確率は100%」と大前研一氏 国民は何をすべきか(週刊ポスト2021年7月2日号) |
新型コロナウイルスの感染拡大による世界経済への影響は少なくない。日本でも、今こそ国が財政出動すべきだという声が高まっているようだ。その一方で、“借金大国”である日本の財政状況を懸念する声は少なくない。経営コンサルタントの大前研一氏が、日本国民は国の借金とどう向き合えばよいのかについて解説する。 |
新型コロナウイルス禍が長引く中、欧州ではユーロ圏各国が大規模経済対策で多額の国債を発行している。そこで、ECB(欧州中央銀行)や各国の中央銀行が保有する国債約3兆ユーロ(約400兆円)の「帳消し」を求める動きが出ている。発端は、ベストセラー『21世紀の資本』(みすず書房)の著者トマ・ピケティ氏ら欧州の経済学者約150人が共同で「徳政令」を求める意見書を発表したことだ。 |
これに対し、ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は「それは私にとって全く考えられないことに思える。今は債務帳消しの質問をするのに適切な時期ではなく、我々は経済の維持に集中している」と否定的な見方を示したと報じられているが、それは当然だ。 |
だが実は、巨額債務の問題は、欧州各国とは比較にならないぐらい日本のほうが深刻だ。国債などの残高を合計した「国の借金」は、2020年度末で過去最大の1216兆4634億円に達し、その対GDP(国内総生産)比は230%を超えている。前述した敗戦直前の政府債務の対GDP比は約200%だったが、今はそれを上回る異常な状態になっているのだ。 |
ちなみに、政府債務の対GDP比はアメリカ108%、フランス99%、イギリス85%、ドイツ56%である。また、EU(欧州連合)は予算年次ごとの財政赤字を対GDP比で3%以内、債務残高を同60%以内に抑えることを加盟国に求めている。EUの基準であれば、すでに日本は“TKO(テクニカルノックアウト)状態”なのである。 |
2020年11月1日時点の日本人の推計人口(約1億2320万人)で単純計算すると、国民1人あたりの借金は約987万円。これは生まれたばかりの赤ちゃんから100歳以上のお年寄りも含めた日本人全員が背負っている借金だ。 |
時折、日本が財政破綻する可能性について聞かれるが、私に言わせれば、税金を払える生産年齢人口が減り続けている以上、破綻確率は「100%」である。今の日本は、いわば“裸の王様”のようなもので、すでに国の財政は破綻している状態だから、いつ国債が暴落してデフォルト(債務不履行)になってもおかしくない。ただ、それは1年後かもしれないし、10年後かもしれない、という話なのである。そういう事態が起きないように財政運営戦略を作っていくのが、国を預かる為政者がやるべきことだ。 |
ところが日本は、日本銀行が「異次元金融緩和」を8年以上も継続して財務省(国立印刷局)が紙幣を刷りまくり、大量発行する国債の消化資金を民間金融機関に提供してきた。そして、その国債を日銀が民間金融機関から買い取って自ら貯め込み、“禁じ手”とされている事実上の財政ファイナンス(中央銀行が通貨を発行して国債を直接引き受けること)を続けている。 |
FRB(米連邦準備制度理事会)やECBも日銀と同じように金融緩和を行なっているが、むしろFRBやECBは日銀を先行指標として注視している。 一方、日本人の多くは、自分は国債と関係ないと思っている。たしかに、個人(家計)の国債保有率は1.3%にすぎない。だが実際は、郵便貯金や銀行預金が金融機関を通じて国債に流れ、さらに日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)という「2頭の鯨」が国債と株を爆買いしている。つまり、個人金融資産は国債に化け、年金積立金も国債と株に形を変えているわけで、政府が財政破綻したら国民も一蓮托生なのだ。 かつては財務省が野放図な予算拡大・国債増発に反対して警鐘を鳴らしていた。しかし、政治家は聞く耳を持たず、さらに2014年に内閣人事局が創設されて官僚人事に対する首相官邸の力が決定的に強まって以降は、財務省も官邸に服従するようになってしまった。 |
だが、今の日本は政治家に政府債務に対する危機感がなく、今後も少子化と生産年齢人口の減少が続く。GAFAMのような巨大IT企業もなければ、アメリカや中国などで続々と誕生しているデカコーン・ユニコーン(※)も全く出てこない。このような状況では、巨額の政府債務を返せるわけがない。 では、国民はどうすればよいのか? 資金に余裕があれば、政府が財政破綻しても影響が少ない不動産や金を買っておいたほうがよいだろう。利息が付く預貯金は元本1000万円までとその利息しか保護されないし、株や投資信託や債券も国が破綻すれば国債と同じく紙屑同然になるからだ。 ただし、最も有効な対策は、自分に投資して世界のどこに行っても稼げる人間になることだ。もし日本が破綻したとしても、世界のどこかに繁栄しているところはあるはずだから、そこで稼げる力を磨いておくことが唯一の安全・安心・有望な投資先なのである。 |
◼️財政破綻シナリオと破綻後戦略 慶應義塾大学ビジネススクール 小幡績, 2019 PDF |
1 財政破綻危機は来るか? |
Yes, definitely. • Why? • 日本では財政赤字を削減したことがない – 借金を返済したことがない – これからもする気はないだろう • プライマリーバランス達成でも赤字は増える • 金利が上昇すれば赤字は増大する |
• さらに |
世界的な財政出動ブーム • 世界の流行は変わった – かつては緊縮財政ブーム – 今は財政出動ブーム • 政策は所詮ブームに左右されるもの • 背景 – 世界的に金融緩和のやり過ぎ:財政に頼るしかない – ポピュリズムが世界征服 – 低成長化、勝ち組、負け組がはっきりする中で格差拡大 – 負け組⇒ポピュリスト⇒景気対策、財政出動の圧力がさらに高まる – インフレが起きにくいこともタガが外れる要因に |
• 日本に財政健全化を迫る国際世論は衰退 |
2 いつ、来るのか? |
わからない。 • これまでに破綻するといわれ続け、いまだに 破綻していない – だから、これからも破綻しない、という風説が台頭 – これから破綻する、というだけのこと • ただ、思ったよりも破綻が中々起きない • なぜか? |
国債は貨幣 • 貨幣とは何か? • バブル – 貨幣とは誕生の時からバブルである – 貨幣は貨幣であるから貨幣である – 貨幣を貨幣と人々が受け取り続ける限り(またその限りに おいてのみ)貨幣は貨幣として価値を持つ – だから貨幣の価値は自己実現、バブルと同じ • 国債も同じこと – 人々が買い続ける限り国債は価値を持つ • したがって、バブル崩壊と同じく自己実現なので。タ イミングはわからない |
そろそろか? • 国債の買い手が銀行から中央銀行に移った • 中央銀行は最後の買い手 – 中央銀行が買うから皆が買う – 国債バブルの最終段階 • 中央銀行が買わなくなったら終わり – その気配だけでも – 人々がそう信じる(誤解する)だけでも |
まだまだか? • 金融市場が破綻するまで、中央銀行と国債 は破綻しない – 実体経済と金融市場でバブルが起きている限り – 国債は必要とされる • 経済全体のバブルが崩壊して初めて国債バ ブルも支えきれなくなる • 金融市場次第? |
3 どのように起こるか? |
わからない。 • いくつかのシナリオは先ほど提示したが • きっかけがどこからくるか分からない – 日本国内か世界か – 実体経済か金融市場か – 政府や日銀か民間セクターか • シナリオとして蓋然性の高いパターンはいくつかあるが、きっかけは無数にある |
〔・・・〕 |
基本的な考え方 |
• 1:前提 – 財政破綻は必ず起きる • 2:戦略 – 破綻後どうなるかを見きわめる – 財政破綻が起きた時のダメージを最小限に抑えるにはどうするか(ダ メージコントロール)ということがすべてだが – それをその時の日本社会ができるかどうか – それを見きわめることで投資戦略を決める • 3:判断の軸 – 日本は… – 破綻前に力を使いきっていないか – 信頼が失われていないか – 分断が起きないと同時に多次元性が確保されているか 〔・・・〕 |
財政破綻の起こり方 |
• 財政破綻とは? – 1.政府財政破綻 • 1-1:文字通り国債返済不能 • 1-2:国債市場価格暴落で新規発行不可能 • 1-3:入札不調で新規発行無期延期 |
– 2.インフレーション • 2-1:物価急騰 • 2-2:資産価格急騰 • 2-3:為替暴落 |
– 3.銀行破綻 • 3-1:保有金融資産(債券など)が暴落 • 3-2:保有債権の価値喪失 • 3-3:取付 |
3つはばらばらではない • 多くの場合、複数(あるいはすべて)起こる • 3(銀行破たん) – 一番深刻 • 2(インフレーション) – 深刻だが中央銀行が機能していれば鎮静可能 • 1(政府財政破綻) – 実は何でもない(うまくやることが可能) – しかし実際にはここの対応で危機を深く広くしてしまう可能性が高い – 政府財政破綻から起きた場合は、その後の政治のダイナミズム、政治と社会のスパイラル的な崩壊を最も警戒 – それにより運用戦略をダイナミックに変更する必要 |