ジョン・ルイス BWV864のプレリュードは長すぎる、
そう思っていた。
だがぼんやりきいていたら
途中からとてつもなく美しくなる、
それにはじめて気づいた。
音が宙にひろがってゆく、
何ものかをつかもうとしている。
私がきいたなかで最も美しいBWV864のプレリュードかも。
L'innocente |
この曲のリヒテル演奏版を繰り返しきいていた女がいた。
ラウラ・アンネッリと同じくらい美しい腋毛の女だった。
月夜の砂浜にまどろんでいる海のようでもあった。
それにしても、アルベルチーヌのなかで生きていたのは、私にとっては、一日のおわりの海だけではなかった、それはまた、ときには、月夜の砂浜にまどろんでいる海だった。(プルースト『囚われの女』) |
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