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2022年2月12日土曜日

半世紀のあいだのサンクトゥス

 


★Bach: Mass in B minor - BWV232. Sanctus - Pleni sunt coeli -

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Raphaël Pichon 2019



少し前、ラファエル・ピション(Raphaël Pichon)のマタイを聴いて惚れ惚れしたんだが、このロ短調もいいなあ、実にいい。ボクはロ短調ミサを聴くときまずこのサンクトゥスから始めることにしてて他の箇所はまだ聴いてないけど。





彼は実に美しい顔をしてる。男はこの顔を忘れちゃいけない。合唱団員の顔つきも実にいい。


何年か前、ジョルディ・サバールの速度感のあるロ短調をきいて、イキイキした美女揃いの合唱団にコロリとまいってしまったことがあるのだが、でも今はこのサバールのよりもピションをとるね。


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Jordi Savall 2011


ヘレヴェーゲの海が揺れるようなサンクトゥスもとってもいいけど、これからはラファエル・ピションだよ。そのくらいあの男に惚れたな。


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Herreweghe


とはいえボクのベースはカール・リヒターなんだ。それも1961年版のトランペットのギリギリの音ーー音が割れる寸前のようにきこえ、人によっては下手くそというのだろうけど、この苦しそうな音がボクのなかで、天に手を伸ばして何ものかをつかもうとする「祈り」ーー信仰のない者の祈りーーの感覚に結びついている。この音に今でもゾッコンだね。


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Karl Richter 1961 


他の演奏をきくとどうしてもこの音をききかえしたくなる。半世紀のあいだ愛し続けてきたサンクトゥスだ。ときに2、3年は会わずにすました時もあったけれど。