ウクライナのネオナチに関して、小泉悠は3月2日に《プーチン大統領はウクライナのゼレンスキー政権を「ネオナチ」とみなしているわけです。これはあり得ない話です。ゼレンスキー大統領は、ナチスに迫害されたユダヤ系ですから》と発言している。
◼️プーチン大統領がおかしい! 「KGB出身に似合わぬ雑な展開」2022.3.2 |
ロシアが2月24日にウクライナ進行を始めてから7日目を迎えました。ウラジーミル・プーチン大統領のこれまでの行動をどう評価しますか。 小泉 悠・東京大学専任講師(以下、小泉):進め方が非常に雑だな、と感じています。 プーチン大統領は2月24日、今回の「特別軍事活動」を承認しました。このとき「ウクライナの非軍事化と非ナチ化を目指す」と発言しています。プーチン大統領はウクライナのゼレンスキー政権を「ネオナチ」とみなしているわけです。これはあり得ない話です。ゼレンスキー大統領は、ナチスに迫害されたユダヤ系ですから。プロパガンダであるにしても、もう少しばれないプロパガンダはできないものでしょうか。 |
4月18日には、《立てこもっているアゾフ連隊は、できた当初は自警団的な組織で、当時はかなりネオナチ的な人が多かった。今もいないわけではない》と言っておりいくらかの「アリバイ作り発言」とも捉えうるが、当初の主張と大きく変わるところはない。 |
◼️ウクライナ東部攻防に西側は支援増強 ロシアの動向は…長期化する侵攻を東野篤子氏・小泉悠氏と分析 4/20(水) BSフジLIVE「プライムニュース」4月18日放送 |
長野美郷キャスター 4月16日にロシア国防省は投降を要求したが、ウクライナ側は応じず徹底抗戦の構え。 |
小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター専任講師: 行き場はすでにない。さらに、立てこもっているアゾフ連隊は、できた当初は自警団的な組織で、当時はかなりネオナチ的な人が多かった。今もいないわけではない。ロシアはネオナチからウクライナを解放すると言っており、投降してもこの人たちが真っ当に捕虜として扱われる感じはしない。 |
長野美郷キャスター: アゾフ大隊はマリウポリを拠点とする部隊で、2014年5月に義勇兵部隊として設立。ドンバス紛争に参加後、ウクライナ内務省が所管する国家親衛隊に編入。 |
東野篤子 筑波大学教授: たしかに2014年に結成された時には、あまり品がよくない、あるいは極右的な思想を持った人たちによって作られ、残虐行為なども一定程度あったと言われる。だがこれは過去形で、その後内務省に所属したときにあまりにも問題ある人は淘汰された。2014年のアゾフ大隊と今のアゾフ連隊を全く同一と見ること、アゾフがいるからウクライナはネオナチの国家だとすることにはかなり無理がある。 |
もうひとり「ロシア政治史の第一人者」塩川伸明東京大学名誉教授の3 月 13 日と4 月 17 日の記述を掲げよう。 |
◼️塩川伸明「ウクライナ戦争をめぐって」 2022 年 3 月 13 日、PDF |
ウクライナのゼレンスキー政権を「ネオナチ」呼ばわりするのは、敵はネオナチであってウクライナではないというレトリックだが、あまりにも無理筋の宣伝だということは明らかである。ウクライナにネオナチが全然いないわけではなく、「ファシスト」と呼ばれるような勢力が皆無というわけでもないが、政権全体をネオナチと呼ぶのはどう見ても無理であり、ほとんど誰をも説得することができない。 |
◼️塩川伸明「ウクライナ戦争・再論」2022 年 4 月 17 日 |
キエフ政権側からの「人民共和国」への「対テロ作戦」には、部分的にであれ、極右ないし「ネオナチ」分子と目される勢力――自らナチのシンボルを掲げる「アゾフ連隊」など――が、諸外国を含む各地から流れ込んだ。それがどの程度の規模か、活動実態はどうか、政権はそれとどのような関係にあるのかをめぐっては諸説が乱れ飛んでいて、確定することが難しい *17 。とにかく、そうした勢力が存在することが、ロシアからの「ネオナチ」宣伝に一定のもっともらしさを付与することになった。「火のない所に煙は立たない」という言葉を借りて比喩的にいうなら、大きな火事があったわけではなく、小さな火種があったのを針小棒大的に膨れ上がらせて、大きな煙に仕立て上げたということではないかと思われる。 |
この見解は、小泉悠やらの中堅国際政治学者とほぼ同様であり、ウクライナのネオナチは「針小棒大的」なロシア側のプロパガンダ(宣伝)であり、《政権全体をネオナチと呼ぶのはどう見ても無理であり、ほとんど誰をも説得することができない》というものだ。
これらは主流西側メディアの主張と軌を一にしていると言ってよいだろう。
他方、こう言った見解はまったく馬鹿げているという立場がある。
例えば、オリバー・ストーンの3月12日の発言。 |
◼️ウクライナ オン ファイヤーのオリバー・ストーン監督がプーチンについて語る[Discussing Oliver Stone's interviews with Vladimir Putin 3/12/2022] |
ナチはウクライナの中で君たちが考えるよりはるかに権力があるんだ。アメリカは否定しているが、ゼレンスキーはユダヤ人だからネオナチはあり得ないとか、バカげている[They say Zelensky is a Jew and that's their motivation for saying: «Well, how can they be Neo-Nazis?» - That's nonsense! ]。 ネオナチはゼレンスキーが出てくる前からずっといたんだ。ゼレンスキーなんか何の力もない。実際、彼が大統領になった時には、ネオナチの言いなりになる必要があった。ネオナチは荒々しいやつらだから従うしかない。だから"大統領"に指示を出している。ウクライナの政治は変えることはできない。セレンスキーはアメリカにもあーしろこーしろ言われ、ネオナチにもあーしろこーしろ言われて、胸クソ悪いのはアメリカが容認していると言う事なんだ。アメリカはネオナチがウクライナでやっている事を容認している。それが一番気分が悪い。 |
あるいはスコット・リッターの3月12日の発言。 |
タマホイ @Tamama0306 元米海兵隊情報将校スコット・リッター氏 「我々はナチスを訓練した」 ゼレンスキーはアゾフ大隊(ネオナチ)を武装解除させようとしたが追い返された ミンスク合意を実行しようとすると殺される ウクライナ軍にネオナチを取り込んだせいでこうなってる、そして訓練して装備を提供したのはNATO |
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さらにそれ以前の3月4日にマクレガー米国元陸軍大佐がゼレンスキーは操り人形に過ぎないと言い放っている。 |
ああ、ゼレンスキーは操り人形だと思う。彼は自分の国の膨大な数の国民を不必要な危険にさらしている。 Oh I think Zelensky is a puppet & he is putting huge numbers of his own population at unnecessary risk (Former top Pentagon advisor Col. Doug Macgregor on Russia-Ukraine war、2022/03/04) |
どちらかの立場を取るかは、この「ウクライナ戦争」を評価する上で決定的要素のひとつである。オリバー・ストーン、スコット・リッター、ダグラス・マクレガーの立場はミアシャイマーやスティーブン・コーエンの観点でもある、➡︎「羊脳にとっての至高の敵「ミアシャイマーとコーエン」」
オリバー・ストーンは《アメリカはネオナチがウクライナでやっている事を容認している。それが一番気分が悪い》と言っているが、上の国際政治学者たちは、ネオナチ等の極右勢力が2014年以降の8年のあいだにやってきたことを容認しているのかと問いたい。私には彼らは西側プロパガンダの奴隷学者にしか見えない。小泉悠の「KGB出身に似合わぬ雑な展開」と言っている表現を援用して言えば、「学者に似合わぬ雑な頭脳」の持ち主と呼ばざるを得ない。