ははあ、そうか、そうか。池内恵ちゃんはまだマガオでこんなこと言ってるのか。
防衛研究所の研究者が大本営脳であるのはある程度やむ得ない。例えば防衛研究所米欧ロシア研究室主任研究官の山添博史のような人物がいるのはやむ得ない。
だがメディアに登場する「国際政治学者」までが羊脳専門家集団となって、西側イデオロギーあるいは西側プロパガンダの拡声器になってしまったのがこの「ウクライナ・ロシア戦争」に伴って日本で起きたことではないか。
私は例えばジャック・ボーのようなきわめて優れた情報分析家が日本に存在するとは思わない。だが彼の能力の十分の一程度はあるだろう「専門家」は日本にもいるだろう。その専門家さえ駆逐されてしまったのが、宇露紛争に伴って起こった「衝撃」である。
以下、「ウクライナの軍事情勢」(スイス元軍事情報将校ジャック・ボー, 2022年3月16日)より抜粋。各パラグラフにおけるグレーの小題は私が付け加えた。
原文:LA SITUATION MILITAIRE EN UKRAINE (JACQUES BAUD, le 16 mars 2022)
2014年2月からロシア人住民に対する虐殺 |
2014年2月から行われたロシア語圏(オデッサ、ドニエプロペトロフスク、ハリコフ、ルガンスク、ドネツク)に対する激しい弾圧が行われ、事態は軍事化し、ロシア人住民の恐ろしい虐殺(オデッサとマリウポリが顕著)も行われた。〔・・・〕 |
民兵増強と米英等による武装訓練、資金提供 |
兵士の不足を補うために、ウクライナ政府は準軍事的な民兵に頼った。ロイター通信によると、2020年にはウクライナ軍の約40%を占め、約10万2,000人が所属していたという。彼らは、米国、英国、カナダ、フランスによって武装し、資金を提供し、訓練を受けていた。国籍は19以上あった。 |
「ネオナチ的」民兵への吐気と西側諸国の支援 |
これらの民兵は、欧米の支援を受けながら、2014年からドンバスで活動していた。「ナチス」という言葉について議論することができたとしても、これらの民兵が暴力的で、吐き気を催すようなイデオロギーを伝え、猛烈な反ユダヤ主義者であり(そして)狂信的で残忍な個人で構成されているという事実は変わらない。〔・・・〕つまり、西側諸国は2014年以降、民間人に対する数々の犯罪(レイプ、拷問、虐殺)を犯した民兵を支援し、武装させ続けたのだ.………。〔・・・〕 |
ウクライナ軍によるドンバス空爆 |
ミンスク合意に反して、ウクライナはドンバスで無人機を使った空爆を行っており、2021年10月にはドネツクの燃料庫を少なくとも1回攻撃している。アメリカのマスコミはこのことを指摘したが、ヨーロッパのマスコミはしなかった。そして、これらの違反を非難する者はいなかった。 |
米国の圧力によるウクライナ側のミンスク合意拒否 |
2022年2月、事態は急展開を迎えた。2月7日、モスクワを訪問したエマニュエル・マクロンは、ウラジーミル・プーチンに対し、ミンスク合意へのコミットメントを再確認し、翌日のヴォロディミル・ゼレンスキーとの会談後にも、このコミットメントを繰り返すことになる。しかし、2月11日、ベルリンで行われた「ノルマンディー方式」首脳の政治顧問会議は、9時間の作業の後、何の具体的な成果もなく終わった:ウクライナ側は依然としてミンスク合意の適用を拒否しており、明らかに米国の圧力によるものであった。ウラジーミル・プーチンは、マクロンが空約束をしたこと、西側諸国が合意を履行する準備ができていないことを指摘し、8年間示してきた和解への反対と同じであることを述べた。〔・・・〕 |
2月16日以降のドンバス住民への砲撃激化と西側メディアの意図的沈黙 |
2月17日、ジョー・バイデン大統領は、ロシアが数日以内にウクライナを攻撃することを発表した。なぜ、彼はこのことを知っていたのだろうか。謎である。しかし、16日以降、ドンバスの住民への砲撃は、OSCEの監視員の日報が示すように、劇的に増えていたのである。当然、メディアも、EUも、NATOも、西側政府も反応せず、介入もしなかった。これはロシアの偽情報だったと後で言われることになる。実際、EUや一部の国は、ドンバス住民の虐殺について、それがロシアの介入を誘発することを知りながら、意図的に沈黙を守ってきたようである。 |
ドンバスでの破壊工作とCIA傭兵関与の可能性 |
同時に、ドンバスで破壊工作が行われたとの報告もあった。1月18日、ドンバスの戦闘員は、ポーランド語を話し、西側の機器を装備し、ゴルリッカで化学事故を起こそうとしていた破壊工作員を迎撃した。彼らは、ドンバス共和国で破壊工作を行うために、アメリカ人が指導または「助言」し、ウクライナまたはヨーロッパの戦闘員で構成されたCIA傭兵であった可能性がある。 |
ロシアにおける「保護する責任」 |
実際、2月16日の時点で、ジョー・バイデンは、ウクライナ側がドンバスの民間人に対する激しい砲撃を開始したことを知っており、プーチン大統領は、ドンバスを軍事的に助けて国際問題を引き起こすか、ドンバスのロシア語圏の人々が潰されるのを傍観するか、という難しい選択を迫られている。 もし、プーチンが介入することになれば、「保護する責任」(R2P)という国際的な義務を発動することができる。しかし、その内容や規模がどうであれ、介入は制裁の嵐を巻き起こすことをプーチンは知っていた。したがって、ロシアの介入がドンバスに限定されようが、ウクライナの地位をめぐって欧米に圧力をかけようが、支払うべき代償は同じである。これが2月21日の演説で説明されたことである。この日、彼はドンバス2共和国の独立を承認し、同時に友好・援助条約に調印した。 |
2月24日、プーチンの国際連合憲章第51条発動 |
ウクライナのドンバス住民への砲撃は続き、2月23日、両共和国はロシアに軍事支援を要請した。2月24日、プーチンは国際連合憲章第51条を発動し、防衛同盟の枠組みでの相互軍事支援を規定した。 |
西側諸国による2月16日の戦争開始の意図的隠蔽 |
西側諸国は、ロシアの介入を国民の目から見て完全に違法と思わせるために、実際に戦争が始まったのが2月16日であるという事実を意図的に隠蔽していた。ロシアとヨーロッパの一部の情報機関がよく知っていたように、ウクライナ軍は早くも2021年にドンバスを攻撃する準備を進めていた。〔・・・〕 |
メディアによるウクライナ民衆の抵抗というロマンチックなイメージの拡散 |
私たちのメディアは、ウクライナ人による民衆の抵抗というロマンチックなイメージを広めている。欧州連合(EU)が民間人への武器配布に資金を提供したのも、こうしたイメージのためだ。私は国連で平和維持の責任者として、文民保護の問題に取り組んできた。その結果、民間人に対する暴力は、非常に特殊な文脈で発生することがわかっていた。特に、武器が豊富にあり、指揮系統が存在しない場合だ。〔・・・〕 |
情報機関の分析劣悪性と教条主義性への驚き |
元情報専門家としてまず驚くのは、欧米の情報機関がこの1年の状況を正確に伝えていないことである。実際、西側諸国では、情報機関が政治家に圧倒されているように見える。問題は、意思決定をするのは政治家であるということだ。意思決定者が耳を貸さなければ、世界最高の情報サービスも意味をなさない。今回の危機では、このようなことが起こってしまった。 とはいえ、一部の情報機関が状況を非常に正確かつ合理的に把握していた一方で、他の情報機関は明らかにわが国のメディアが喧伝するのと同じ構図を描いていた。問題は、経験上、彼らが分析レベルでは極めて劣っていることだ。教条主義的で、軍事的な "質 "で状況を判断するのに必要な知的・政治的独立性に欠けている。 |
欧米政治家の意図的イデオロギー対応と紛争を望む者の存在 |
第二に、ヨーロッパの一部の国では、政治家が意図的にイデオロギー的な対応をしているようだ。そのため、この危機は最初から非合理的なものとなっている。この危機の中で国民に提示された文書はすべて、政治家が商業的な情報源に基づいて提示したものであることに注目すべきである。 欧米の政治家の中には、明らかに紛争を望んでいる者がいる。〔・・・〕 |
われわれが知っていながら見ようとしなかった紛争原因 |
今日、私たちが目の当たりにしている劇的な展開には、私たちが知っていながら見ようとしなかった原因がある : ・戦略的なレベルでは、NATOの拡大(ここでは扱っていない)。 ・政治的なレベルでは、ミンスク協定の履行を拒否する西側諸国の動き。 ・そして作戦面では、過去数年にわたるドンバスの民間人に対する継続的かつ反復的な攻撃と、2022年2月下旬の劇的な増加である。 つまり、ロシアの攻撃を嘆き、非難することは当然できる。しかし、WE(つまり:米国、フランス、EUを筆頭に)は、紛争が勃発する条件を作ってしまった。 |
8年間のドンバス住民に対する虐殺の無視 |
私たちは、ウクライナの人々や200万人の難民に思いやりを示す。それはそれで結構なことだ。しかし、同じ数のドンバスのウクライナ人が自分たちの政府によって虐殺され、8年間ロシアに避難した難民に対して、私たちがわずかでも同情していれば、おそらくこんなことは起こらなかっただろう。 ドンバスの人々が受けた虐待に「ジェノサイド」という言葉が当てはまるかどうかは、未解決の問題である。この言葉は通常、より大規模なケース(ホロコーストなど)にのみ用いられるが、ジェノサイド条約における定義は、おそらく十分に広い範囲で適用可能である。法律家の方にも受け入れていただけると思う。 Nous témoignons de la compassion pour le peuple ukrainien et les deux millions de réfugiés. C’est bien. Mais si nous avions eu un minimum de compassion pour le même nombre de réfugiés des populations ukrainiennes du Donbass massacrées par leur propre gouvernement et qui se sont accumulés en Russie durant huit ans, rien de cela ne serait probablement passé. Que le terme de « génocide » s’applique aux exactions subies par les populations du Donbass est une question ouverte. On réserve généralement ce terme à des cas de plus grande ampleur (Holocauste, etc.), néanmoins, la définition qu’en donne la Convention sur le génocide, est probablement suffisamment large pour s’y appliquer. Les juristes apprécieront. |
西側の集団ヒステリー |
明らかに、この紛争は私たちをヒステリーに導いている。制裁は、我々の外交政策の好ましい手段となっているようだ。もし、我々が交渉し承認したミンスク合意をウクライナに遵守させるよう主張していれば、このような事態は起きなかっただろう。ウラジーミル・プーチンの非難は、私たちの非難でもある。後から泣き言を言っても仕方がない、もっと前から行動すべきだった。しかし、エマニュエル・マクロンも(保証人かつ国連安全保障理事会のメンバーとして)オラフ・ショルツもヴォロディミル・ゼレンスキーも、その約束を守っていない。結局、本当の敗北は、声を上げられない者たちの敗北なのだ。 |
火に油を注ぐ欧州連合 |
欧州連合はミンスク合意の履行を促進することができず、それどころか、ウクライナがドンバスで自国民を空爆していたときも反応しなかった。そうしていれば、プーチンは反応する必要がなかっただろう。EUは外交段階から姿を消し、紛争を煽ることでその存在を際立たせていた。2月27日、ウクライナ政府はロシアとの交渉を開始することに合意した。しかし、その数時間後、欧州連合はウクライナに武器を供給するための予算4億5000万ユーロを議決し、火に油を注ぐことになった。それ以降、ウクライナ側は合意形成の必要がないと思っている。マリウポリでのアゾフ民兵の抵抗は、5億ユーロの武器増産を誘発することにさえなる。〔・・・〕 |
なぜ西側政治家は8年間もドンバス民間人に対する暴力に反応しなかったのか |
ゲーテの言葉にあるように、「光が大きければ大きいほど、影は濃くなる」のだ。ロシアに対する制裁が不釣り合いであればあるほど、何もしていないケースは、私たちのレイシズムと卑屈さを浮き彫りにする。なぜ西側の政治家は8年間もドンバスの民間人に対する暴力に反応しなかったのだろうか。 Comme disait Goethe : « Plus grande est la lumière, plus noire est l'ombre ». Plus les sanctions contre la Russie sont démesurées, plus les cas où nous n'avons rien fait mettent en évidence notre racisme et notre servilité. Pourquoi aucun politicien occidental n'a-t-il réagi aux frappes contre les populations civiles du Donbass durant huit ans ? (ジャック・ボーJACQUES BAUD「ウクライナの軍事情勢」LA SITUATION MILITAIRE EN UKRAINE, 2022年3月16日) |
ひとつだけコメントしておこう。《16日以降、ドンバスの住民への砲撃は、OSCEの監視員の日報が示すように、劇的に増えていた》とある。このOSCE(欧州安全保障協力機構)停戦違反記録にはこうある。
Martyr Made @martyrmade On Feb 15, the OSCE recorded 41 ceasefire violations as Kiev’s forces began shelling Donbas. Feb 16: 76 violations Feb 17: 316 Feb 18: 654 Feb 19: 1,413 Feb 20-21: 2,026 Feb 22: 1,484 …virtually all by the Kiev side. Feb 24: Russian forces intervene |
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https://www.moonofalabama.org/2022/05/ukraine-putin-on-why-the-war-started-failed-attempts-on-snake-island-other-issues-.html#more |
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しかもこのOSCEの情報さえその信憑性を疑ってかからねばならないという情報もある。 |
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Maria Dubovikova ✦ ماريا دوبوفيكوفا@politblogme Apr 26 The OSCE staff in Mariupol abandoned their archive. All OSCE field reports since 2014 were found, with reportedly thousands of Ukrainian war crimes that were documented, but which were not reported by the OSCE in their official documents. |
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Furthermore, a warehouse of Italian-made mortar mines was found in the garage of the OSCE building at the address Mariupol, Primorsky Boulevard, 25. The labels indicate that they were packed for shipping by sea on 2022-3-11. This indicates that the neutral, monitoring organization was supplying with weapons one of the parties to the conflict. |
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すなわちOSCEのマリウポリ事務所で、2014年からのドンバス紛争の公式報告書には含まれていない数千件の戦争犯罪記録が見つかった。さらにイタリア製の輸送武器も見つかり、中立であるはずのOSCEがNATO側の武器供給に関与している可能性もあると。 こういったことをほとんどまったく見ないフリをした国際政治学者なる「専門家集団」がメディアを支配したのが、この宇露紛争における最も驚くべき衝撃のひとつであった。 今からでも遅くない。国際政治学者たちはジャック・ボーの言っているひとつひとつの項目に反論してみてはどうか、もし連中にその能力が少しでもあるなら。
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………………
※付記
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