そのうちに又あらゆるものの譃であることを感じ出した。政治、実業、芸術、科学、――いずれも皆こう云う僕にはこの恐しい人生を隠した雑色のエナメルに外ならなかった。(芥川龍之介『歯車』) |
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おい、飽きたよ
どいつもこいつも似たようなもんさ
高橋悠治)あらゆる科学だろうと哲学だろうと結局取引関係にいくわけじゃないですか、だから取引関係に基づいて科学も経済もすべてができている。これこそ問題じゃないですか?〔・・・〕 でもそのね、すべてがビジネスにもとづいているということがますますはっきりしてきたというのは、ひとつの文明の衰えていく過程で露になってきた、そういう事実。言葉があれだけど。 つまり、文明が盛んなときは別に取引だろうがなんだろうが、そういうことはいわなかったし、それで成り立ってたわけですよ。それで、今すべてがビジネスだというようなことになったときに、そこから何か生まれてくるということはこれ以上ない。儲かる人は儲かるし、力のある人はもっと力があるし、そういうようなことでしかないわけでしょ。 そうすると、そういうことをいくら批判したって始まらないわけだから、どういうふうに違うものがあるかということになりますね。(高橋悠治×茂木健一郎 「他者の痛みを感じられるか」2005年) |
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