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2022年8月16日火曜日

静膣な品位の羽佳


 いまさらだが蚊居肢子は根源的な王羽佳ファンなんだろうな、こういうのを見るとどうしようもなくなるからな、何を弾こうとかまわないよ



彼女は1987年生まれ、今年35歳か。アブラが乗り切った演奏家だよ。

GIFだけじゃなんだから、シフとの共演のスラブ舞曲でも貼り付けてオキマス。

Yuja Wang & Andras Schiff play Dvorak - Slavonic Dance 



羽佳には実に静膣な品位があるよ、男には絶対出せない品位が。


昔は誰でも、果肉の中に核があるように、人間はみな死が自分の体の中に宿っているのを知っていた(あるいはおそらくそう感じていた)。子どもは小さな死を、おとなは大きな死を自らのなかにひめていた。女は死を胎内に、男は胸内にもっていた。誰もが死を宿していた。それが彼らに特有の尊厳と静謐な品位を与えた。

Früher wußte man (oder vielleicht man ahnte es), daß man den Tod in sich hatte wie die Frucht den Kern. Die Kinder hatten einen kleinen in sich und die Erwachsenen einen großen. Die Frauen hatten ihn im Schooß und die Männer in der Brust. Den hatte man, und das gab einem eine eigentümliche Würde und einen stillen Stolz.(リルケ『マルテの手記』1910年)




おお、小さな生き物の至福さよ。

それはいつまでも胎内に在る、それを月満ちるまで懐妊していた母胎のなかに。

おお、蚊の幸福よ、それは婚礼の時でさえ

なお母胎のなかで踊っている。というのも一切が母胎なのだから。


O Seligkeit der kleinen Kreatur,

die immer bleibt im Schooße, der sie austrug;

o Glück der Mücke, die noch innen hüpft,

selbst wenn sie Hochzeit hat: denn Schooß ist Alles.


リルケ『ドゥイノ』第八悲歌