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2022年10月25日火曜日

大ボラであればあるほど巧く釣れる大衆

 

ケイトー研究所の国防・外交政策研究シニアフェロー[a senior fellow in defense and foreign policy studies at the Cato Institute]、テッド・ガレン・カーペンターか。米国にもまともな研究所があるようだな。


◼️「ウクライナ戦争についてのワシントンの大ぼら」Washington's Whoppers on the War in Ukraine

テッド・ガレン・カーペンター Ted Galen Carpenter   Oct 24, 2022

…米国のプロパガンダにおける二つのごまかし議論は、とてつもなく酷いもので、巨大なデタラメとして際立っている。一つ目の大ぼらは、ロシアのウクライナに対する戦争は全く挑発されておらず、ウクライナ、米国、NATOは、ロシアを脅迫したことは何もなく、現在の流血の悲劇には少しも寄与していないというものだ。第二の大ぼらは、ウクライナは自由民主主義国家であり、ロシアの隣の手本として存在するだけで、プーチンとその側近の権威主義的なオリガルヒを恐怖に陥れているというものである。

Two deceptive arguments in U.S. propaganda are so egregious that they stand out as gigantic whoppers. The first whopper is that Russia’s war against Ukraine was entirely unprovoked; nothing Ukraine, the United States, or NATO did, this story goes, threatened Russia or contributed in the slightest to the current bloody tragedy. The second whopper is that Ukraine is a liberal democratic country whose mere existence as a model in Russia’s neighborhood terrifies Vladimir Putin and his inner circle of authoritarian oligarchs.

〔・・・〕

ワシントンの広範で詐欺的なプロパガンダキャンペーンは、恥知らずにも戦争推進派の報道機関に助けられ唆され、今後も続くだろう。より適切な問題は、米国民が目を覚まして、いかがわしい米国の海外介入について、さらにいっそういかがわしい外国のクライアントのために、またしても騙されていることに気づくかどうかである。

Washington’s pervasive, dishonest propaganda campaign is certain to continue, aided and abetted by a shamelessly pro-war news media. The more pertinent question is whether the American people will wake up and realize that they’ve been deceived yet again about a dubious U.S. overseas intervention on behalf of an even more dubious foreign client.




とはいえ大衆ってのは、大ボラであればあるほど巧く釣れるってのが古典的テーゼだからな。


ヒットラーの独自性は、大衆に対する徹底した侮蔑と大衆を狙うプロパガンダの力に対する全幅の信頼とに現れた。と言うより寧ろ、その確信を決して隠そうとはしなかったところに現れたと言った方がよかろう。〔・・・〕


大衆はみんな嘘つきだ。が、小さな嘘しかつけないから、お互いに小さな嘘には警戒心が強いだけだ。大きな嘘となれば、これは別問題だ。彼等には恥ずかしくて、とてもつく勇気のないような大嘘を、彼らが真に受けるのは、極く自然な道理である。たとえ嘘だとばれたとしても、それは人々の心に必ず強い印象を残す。うそだったということよりも、この残された強い痕跡の方が余程大事である、と。


大衆が、信じられぬほどの健忘症であることも忘れてはならない。プロパガンダというものは、何度も何度も繰り返さねばならぬ。それも、紋切型の文句で、耳にたこが出来るほど言わねばならぬ。但し、大衆の目を、特定の敵に集中させて置いての上でだ。(小林秀雄「ヒットラーと悪魔」1960年)



《たとえ嘘だとばれたとしても、それは人々の心に必ず強い印象を残す。うそだったということよりも、この残された強い痕跡の方が余程大事》ってのはトッテモ大事だろうよ、プロパガンダ手法として。


実際、意図的に大ぼら吐き続け、それを繰り返してるんだろうよ、あの連中は。



米政府高官3人がNBC Newsに語ったところによると、ロシアに関する「情報」に基づく米国の主張は、単に「ロシアを先制する」ためにでっち上げられたものであるとのことです。

ひとりの米政府高官曰く「我々が話すとき、確かな情報である必要はない...」と。

Three U.S. officials tell NBC News that U.S. claims based on"intelligence" on Russia were made up simply to "preempt the Russians"

One U.S. official: "It doesn't have to be solid intelligence when we talk about it.." 2022/04/07

➡︎動画



ヒトラーの時代よりもずっと騙しやすくなったんじゃないかね、なんたって文明は進歩したからな。


フローベールの愚かさに対する見方のなかでもっともショッキングでもあるのは、愚かさは、科学、技術、進歩、近代性を前にしても消え去ることはないということであり、それどころか、進歩とともに、愚かさも進歩する! ということです。Le plus scandaleux dans la vision de la bêtise chez Flaubert, c'est ceci : La bêtise ne cède pas à la science, à la technique, à la modernité, au progrès ; au contraire, elle progresse en même temps que le progrès !"


フローベールは、自分のまわりの人々が知ったかぶりを気取るために口にするさまざまの紋切り型の常套語を、底意地の悪い情熱を傾けて集めています。それをもとに、彼はあの有名な『紋切型辞典』を作ったのでした。この辞典の表題を使って、次のようにいっておきましょう。すなわち、現代の愚かさは無知を意味するのではなく、先入見の無思想を意味するのだと。フローベールの発見は、世界の未来にとってはマルクスやフロイトの革命的な思想よりも重要です。といいますのも、階級闘争のない未来、あるいは精神分析のない未来を想像することはできるとしても、さまざまの先入見のとどめがたい増大ぬきに未来を想像することはできないからです。これらの先入見はコンピューターに入力され、マスメディアに流布されて、やがてひとつの力となる危険がありますし、この力によってあらゆる独創的で個人的な思想が粉砕され、かくて近代ヨーロッパの文化の本質そのものが息の根をとめられてしまうことになるでしょう。(クンデラ「エルサレム講演」1985年『小説の精神』所収)