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2023年2月23日木曜日

21世紀において確かな事ーー既存の社会保障制度の崩壊


 GraphToChart「ロシア連邦の高齢者人口の推移と他国との比較」によれば、ロシアの直近の高齢者人口比率は、15.6%のようだ。




高齢者人口比率が15%前後になると慌て出すんだろう、どの国も。プーチンの直近の演説にもそれが滲み出ている。


(令和4年版高齢社会白書 PDF)

ヨーロッパはとっくの昔から慌てているし、アジアでは中国、韓国、シンガポール、タイも危険水域に入ってきた。さらに今後の韓国やシンガポールの上昇予測を見よ。前者は日本を追い抜き、後者も日本を追い抜かんばかりだ。中国やタイも似たようななもの。こうなると、いずれの国も事実上高齢者を養うための経済になってしまい、衰退を免れるのは難しい。

日本が高齢者人口比率 15%になったのは1995年頃だが、慌て方が足りなかったんではないか。


1995年の高齢化率14. 6 %が、2020年には28.6%とほぼ倍増。年金等の社会保障給付以外に回す金がなくなる。それも雪だるま式の借金をしつつだ。


財務省 令和4年10月 PDF


これは日本だけの話ではないが、年金制度を中心とした社会保障制度は、人口が急増した20世紀後半に設計されたシステムであり、高齢化比率が高まれば成り立つわけがない。日本なら、先のグラフにあるように1965年には高齢者一人当たりを支える生産年齢人口10.8人だったのが、2020年には2.1人しかいなくなった。

ヨーロッパが日本よりもまだいくらかマシなのは大量移民のおかげでしかない。


20世紀後半には人口爆発という世界史上異様なことが起こったのであり、社会保障制度はその異様な時期に設計された束の間のシステムに過ぎなかった。50年後の歴史の教科書にはそう書かれるだろう。いつまでその制度にしがみついているわけには到底いかない。いや少なくとも「既存の」社会保障制度は必ず崩壊する。




日本だけに限って、さらにこの30年間だけを見ても、高齢者1人当たりの生産年齢人口は3分の1近くになってしまっている。




日本の場合、未来の問題ではまったくなく、この今の問題なのであり、国が借金をして高齢者向けの社会保障給付を補填しないとの仮定の下なら、生産年齢人口1人当たりの高齢者向け負担は1990年に比べ3倍近くしなければならないことになる。


仮に高齢者の定義をただちに75歳以上に改め、生産年齢人口を15歳から74歳としたってーー2020年時点で7509+1742=9241に対しーー、75歳以上は1860万人もいる。つまり1990年の65歳以上1489万人を遥かに上回る。逆にいえば、75歳以上高齢者に対する一人当たり生産年齢人口、9241÷1860=4.9であり、社会保障給付のために赤字国債を発行し始めた1990年の比率を下回る。