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2023年2月8日水曜日

金槌を持っていると、すべての問題が釘の様に見えてくる

 

オリバー・ストーンはヌーランドをネオコンギャングと呼んでいたが、米ネオコンギャングは、宇ネオナチを煽り立て、ネオリベラルなる米帝国主義の代理戦争役としてふんだんに利用したわけである。


Victoria Nuland with leader of the Neo-Nazi Svoboda Part (left)




ヌーランドが旦那ーー「アメリカ新世紀プロジェクト」(PNAC)の中心人物だったロバート・ケーガンーーと一緒に写っている写真は一枚しか行き当たらないね。二人の子供つきで、動画の一コマである。


Victoria Nuland is sworn in as NATO ambassador by Dick Cheney in 2005. Photo | White House




以下、『ネオコンの論理』という邦題をもつロバート・ケーガンRobert Kagan

の著作「OF PARADISE AND POWER America and Europe in the New World Order (楽園とパワーについて 新世界秩序:アメリカとヨーロッパ)」を拾ったので貼り付ける。


ヨーロッパは軍事力への関心を失い、力の世界を超えて、法と規範、国際交渉と国際協力という独自の世界へと移行している。歴史の終わりの後に訪れる平和と繁栄の楽園、一八世紀の哲学者、イマヌエル・カントが『永遠平和のために』で描いた理想の実現に向かっている。これに対してアメリカは、歴史が終わらない世界で苦闘しており、一七世紀の哲学者、トマス・ホッブズが『リバイアサン』で論じた万人に対する万人の戦いの世界、国際法や国際規則があてにならず、安全を保障し、自由な秩序を守り拡大するにはいまだに軍事力の維持と行使が不可欠な世界で、力を行使している。」(ロバート・ケーガン『ネオコンの論理――アメリカ新保守主義の世界戦略』序章、2003年)


軍事力が強い国は自然に、軍事力が弱い国とは違った目で世界を見る。リスクと脅威の測り方が違い、安全のとらえ方が違い、安全が脅かされた状態への許容度が違う。軍事力が強い国は、軍事力が弱い国よりも、国際紛争を解決する手段として軍事力が役立つと考える可能性が高い。〔・・・〕イギリスのある論者は、アメリカが軍事力を行使したがることを批判して、『金槌を持っていると、すべての問題が釘の様に見えてくる』 という古い諺をもちだしている。 確かにそうだ。だが、強大な軍事力を持たない国には逆の危険がある。金槌を持っていないと、どんな問題も釘のようだとは考えたくなくなりかねないのだ。(ロバート・ケーガン『ネオコンの論理――アメリカ新保守主義の世界戦略』第2章 「強さの心理と弱さの心理」 、2003年)



そうかそうか、『金槌を持っていると、すべての問題が釘の様に見えてくる』を認めてるわけだな、正直でよろしい。旦那のほうはまだカワイイところがあるよ。





最近は女が戦争牛耳るからな・・・


「戦争が男たちによって行われてきたというのは、これはどえらく大きな幸運ですなあ。もし女たちが戦争をやってたとしたら、残酷さにかけてはじつに首尾一貫していたでしょうから、この地球の上にいかなる人間も残っていなかったでしょうなあ」C'est une chance énorme que les guerres aient été faites par les hommes. Si les femmes avaient fait la guerre, elles auraient été si conséquentes dans leur cruauté qu'il ne resterait aucun être humain sur la planète.(クンデラ『不滅』Milan Kundera, L'Immortalité,1990)


幸運の時代は終わったんだよ、


女が憎むときは、男はその女を恐れるがいい。なぜなら、魂の底において、男は「たんなる悪意の者Seele nur böse」であるにとどまるが、女は「悪 schlecht」(何をしでかすかわからない)だから。

Der Mann fürchte sich vor dem Weibe, wenn es hasst: denn der Mann ist im Grunde der Seele nur böse, das Weib aber ist dort schlecht.(ニーチェ『ツァラトゥストラ』第1部「老いた女と若い女」1883年)








私は、明言を躊躇うのではあるが、女にとっての正常な道徳観のレベルは、男のものとは異なっていると思わざるをえない。

Man zögert es auszusprechen, kann sich aber doch der Idee nicht erwehren, daß das Niveau des sittlich Normalen für das Weib ein anderes wird. 〔・・・〕


女たちの性格特徴に対して、どの時代の批評も、女たちは男に比べ脆弱な正義意識をもつとか、生が持つ大いなる必然に従う心構えが弱い、と非難をしてきた。女たちは愛憎感情にはるかに影響されるのである。Charakterzüge, die die Kritik seit jeher dem Weibe vorgehalten hat, daß es weniger Rechtsgefühl zeigt als der Mann, weniger Neigung zur Unterwerfung unter die großen Notwendigkeiten des Lebens, sich öfter in seinen Entscheidungen von zärtlichen und feindseligen Gefühlen leiten läßt, 〔・・・〕


われわれに完全なジェンダー平等と敬意をおしつけようとしているフェミニストたちの反対にあったからといって、このような判断に迷う者はいないだろう。Durch den Widerspruch der Feministen, die uns eine völlige Gleichstellung und Gleichschätzung der Geschlechter aufdrängen wollen, wird man sich in solchen Urteilen nicht beirren lassen(フロイト『解剖学的な性の差別の心的帰結の二、三について』1925年)


我々はまた、女たちは男たちに比べ、欲動昇華の能力が低いと見なしている[Wir sagen auch von den Frauen aus, daß …ihre Fähigkeit zur Triebsublimierung geringer sind als die der Männer. ](フロイト『続精神分析入門』第33講「女性性」1933年)

欲動蠢動は刺激、無秩序への呼びかけ、いやさらに暴動への呼びかけである [Triebregung…la Regung est stimulation, l'appel au désordre, voire à l'émeute](ラカン, S10, 14  Novembre  1962)




………………



※付記



◼️ウクライナは最新のネオコン大災害(ジェフリー・サックス)

Ukraine is the latest neocon disaster

By Jeffrey Sachs June 28, 2022

ネオコン運動は、1970年代にシカゴ大学の政治学者レオ・ストロースとイェール大学の古典学者ドナルド・ケーガンの影響を受けた何人かの公的知識人のグループを中心に発生した。ネオコンの指導者には、ノーマン・ポドホルツ、アーヴィング・クリストル、ポール・ウォルフォウィッツ、ロバート・ケイガン(ドナルドの息子)、フレデリック・ケイガン(ドナルドの息子)、ビクトリア・ヌーランド(ロバートの妻)、エリオット・エイブラムス、キンバリー・アレン・ケイガン(フレデリックの妻)などがいる。


ネオコンの主要なメッセージは、米国は世界のあらゆる地域で軍事的に優位に立たなければならず、いつの日か米国の世界または地域の支配に挑戦する可能性のある地域の新興勢力、特にロシアと中国に立ち向かわなければならない、というものである。この目的のために、米国の軍事力は世界中の何百もの軍事基地にあらかじめ配置され、米国は必要に応じて選択の戦争を導く準備をしなければならない。国連は、米国の目的に役立つときだけ、米国が利用するものだ。


このアプローチは、ポール・ウォルフォウィッツが2002年に国防省のために書いた防衛政策ガイダンス(DPG)で初めて明言されたものである。この草案は、1990年にドイツのハンス・ディートリッヒ・ゲンシャー外相が、ドイツの統一に続いてNATOの東方拡大を行わないことを明確に約束したにもかかわらず、米国主導の安全保障ネットワークを中・東欧に拡大することを求めたものである。


ウォルフォウィッツはまた、アメリカの選択戦争を主張し、アメリカが懸念する危機に対して、単独でも、独立して行動する権利を擁護した。ウェスリー・クラーク将軍によれば、ウォルフォウィッツはすでに1991年5月、イラク、シリア、その他の旧ソ連の同盟国でアメリカが政権交代作戦を主導することをクラークに明言していたという。


ネオコンは、2008年にジョージ・W・ブッシュ・ジュニアの下で米国の公式政策となる以前から、ウクライナへのNATO拡大を唱えていた[The neocons championed NATO enlargement to Ukraine even before that became official US policy under George W. Bush, Jr. in 2008.]。彼らは、ウクライナのNATO加盟が米国の地域的・世界的支配の鍵になると考えていたのである。ロバート・ケーガンは、2006年4月、ネオコンのNATO拡大のケースを詳述している。


「ロシア人と中国人は、[旧ソ連の「カラー革命」]には何の自然さもなく、世界の戦略的に重要な地域における西側の影響力を促進するために、西側が支援したクーデターに過ぎないと考えているのだ。彼らは間違っているのだろうか?西側民主主義諸国によって促され、支持されたウクライナの自由化の成功は、同国をNATOやEUに編入するための前哨戦、つまり西側の自由主義覇権の拡大に過ぎないのではないか?」

ケーガンは、NATOの拡大がもたらす悲惨な意味合いを認めている。彼はある専門家の言葉を引用して、"クレムリンは「ウクライナのための戦い」の準備を真剣にしている "と言っている。ソ連崩壊後、米ロ両国は慎重な緩衝材と安全弁として、中立的なウクライナを求めるべきだった。しかし、ネオコンはアメリカの「覇権」を求め、ロシアは防衛と部分的には自国の帝国主義的自負のために、この戦いに挑んだのである。この戦争は、オスマン帝国に対するロシアの圧力に対抗して、イギリスとフランスが黒海でロシアの弱体化を図ったクリミア戦争(1853-6年)のような色合いを帯びている。


ケーガンは、妻のビクトリア・ヌーランドがジョージ・W・ブッシュ・ジュニアの下でNATO大使を務めている間、私人としてこの記事を書いた。ヌーランドは、ネオコン工作員の代表格である[Nuland has been the neocon operative par excellence]。ブッシュ政権のNATO大使に加え、2013年から17年までバラク・オバマの欧州・ユーラシア担当国務次官補を務め、ウクライナの親ロシア大統領ヴィクトール・ヤヌコヴィッチの打倒に参加し、現在はバイデンの国務次官としてウクライナ戦争に対する米国の政策を指導している。


ネオコンの展望は、米国の軍事的、財政的、技術的、経済的優位性によって、世界のすべての地域で条件を決定することができるという、極めて誤った前提に基づいている。これは、驚くべき傲慢さと、驚くべきエビデンス侮蔑の両方の立場である。1950年代以降、米国は参加したほぼすべての地域紛争で足止めを食らうか敗北してきた。しかし、「ウクライナのための戦い」では、ネオコンはロシアの猛反対を押し切ってNATOを拡大し、ロシアとの軍事衝突を誘発する用意があった。なぜなら、彼らはロシアが米国の金融制裁とNATOの兵器によって敗北すると熱狂的に信じているからだ。

The neocon outlook is based on an overriding false premise: that the US military, financial, technological, and economic superiority enables it to dictate terms in all regions of the world. It is a position of both remarkable hubris and remarkable disdain of evidence. Since the 1950s, the US has been stymied or defeated in nearly every regional conflict in which it has participated. Yet in the “battle for Ukraine,” the neocons were ready to provoke a military confrontation with Russia by expanding NATO over Russia’s vehement objections because they fervently believe that Russia will be defeated by US financial sanctions and NATO weaponry.


キンバリー・アレン・ケイガンが率いるネオコン系シンクタンクの戦争研究所(ISW)は、ジェネラル・ダイナミクスやレイセオンといった防衛関連企業の有力者に支えられ、ウクライナの勝利を請け合い続けている。ロシアの前進について、ISWは典型的なコメントを発表している。セベロドネツク市をどちらが押さえようと、作戦・戦略レベルでのロシアの攻勢はおそらく頂点に達し、ウクライナは作戦レベルでの反撃を再開し、ロシア軍を押し返す機会を得るだろうと。


しかし、現実に起きていることは、そうではないことを暗示している。欧米の経済制裁は、ロシアにはほとんど悪影響を与えていないが、それ以外の国には大きなブーメラン効果を与えている。さらに、ウクライナに弾薬や武器を補給する米国の能力は、米国の生産能力の限界とサプライチェーンの途絶によって、深刻な打撃を受けている。もちろん、ロシアの工業能力はウクライナのそれを凌駕している。戦前のロシアのGDPはウクライナの約10倍だったが、ウクライナは戦争で工業力の多くを失ってしまった。


現在の戦闘で最も可能性が高いのは、ロシアがウクライナの大部分を征服し、おそらくウクライナを内陸に追いやる、もしくはそれに近い状態にすることであろう。ヨーロッパと米国では、軍事的損失と戦争と制裁によるスタグフレーションの影響により、不満が高まるだろう。米国で右翼のデマゴーグが台頭し(あるいはトランプの場合なら、彼は政権に復帰し)、危険なエスカレーションによって米国の色あせた軍事的栄光を回復すると約束すれば、その波及効果は壊滅的になりかねない。

このような惨事を招く危険を冒す代わりに、真の解決策は、過去30年間のネオコンの幻想を終わらせ、ウクライナとロシアが交渉のテーブルに戻り、NATOがウクライナとグルジアへの東方拡大へのコミットを終わらせ、ウクライナの主権と領土の一体性を尊重し保護する実行可能な平和と引き換えにすることである。