➡︎動画
日々このたぐいの情報に行き当たってほとんどついていけないんだよな。私はビル・ゲイツという慈善家に大した幻想を抱いていない人間のつもりだったが、ーー
《ビル・ゲイツには二つの顔がある。冷酷なビジネスマンとしての彼は競争相手を破滅させるか買収して、実質的な独占を目指す。目的を遂げるために商売上のあらゆる策略を練る。他方、人類の歴史上、最も偉大な博愛主義者としての彼は巧みに問いかける。「コンピュータを所有することは何に奉仕するというのでしょう、もし人びとが食べる物が充分になく、赤痢で死にかかっているのなら?」
リベラルなコミュニスト的倫理において、利益の無慈悲な追及は慈善活動によって中和される。慈善活動は経済搾取の顔を隠すヒューマニストの仮面である。膨大な超自我の脅迫(疚しい良心)のなかで、先進国は後進国を、援助や借款などで「助ける」。それによって鍵となる問題を避けるのだ、すなわち後進国の悲惨な状況における共犯関係と共同責任を。》(ジジェク『暴力』2007年)
・・・とはいえこの動画は強烈だったね。18分もあるけど、じっくり観ることをおすすめするよ。
最後にこうあるね。
「信じたい」なんて言わなくたっていいからさ、せめてどんな罪を犯してきたラシイのか、・・・これマジかい?ぐらいは知っといたほうがいいよ
この動画を見て、《自分を祝福して、えらい人のように思う》という手だってあるかもよ。
グレエトヘン(マルガレエテ)
今までは余所の娘が間違でもすると、
わたしもどんなにか元気好くけなしただろう。
余所の人のしたと云う罪咎を責めるには、
わたしもどんなにか詞数が多かっただろう。
人のした事が黒く見える。その黒さが
足りないので、一層黒く塗ろうとする。
そして自分を祝福して、えらい人のように思う。
今は自分も犯しているのに。
だけれど、だけれど、それまでになる道筋は、
まあ、あんなに好かったのに、あんなに美しかったのに。
ーーゲーテ「ファウスト」森鴎外訳