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2023年6月17日土曜日

無際限に人命と労力と物資と財産を吸い込むブラックホール


しかしいつまでもつんだろうな、今のロシアは集団的西側全体と戦争しているようなもので、当面は自国経済がうまくいっているからいいようなもの、現在の事態は「ブラックホール」には違いないだろうから。


平和は、なくなって初めてそのありがたみがわかる。短い祝祭期間が失望のうちに終わると、戦争は無際限に人命と労力と物資と財産を吸い込むブラックホールとなる。その持続時間と終結は次第に誰にもわからなくなり、ただ耐えて終わるのを待つのみになる。太平洋戦争の間ほど、平和な時代のささやかな幸せが語られたことはなかった。虎屋の羊羹が、家族の団欒が、通学路のタバコ店のメッチェン(少女)が、どれほど熱烈な話題となったことか。平和物語とは、実はこういうものである。過ぎ去って初めて珠玉のごときものとなるのは老いの繰り言と同じである。平和とは日常茶飯事が続くことである。 (中井久夫「戦争と平和についての観察」2005年『樹をみつめて』所収)



もっとも用意万端だったのかもしれないが。


今起きていることは、例えばウクライナも含めて、ロシアの特別軍事作戦が始まってからの変化ではありません。これらの変化はすべて、何年も長い間、続いています。(略)これは世界秩序全体の地殻変動なのです。

ソ連の崩壊は、地政学的な力のバランスも破壊しました。欧米は勝者の気分になり、自分たちの意志、文化、利益のみが存在する一極的な世界秩序を宣言しました。

今、世界情勢における西洋の独壇場は終わりを告げ、一極集中の世界は過去のものになりつつあります。私たちは、第二次世界大戦後、おそらく最も危険で予測不可能な、しかし重要な10年を前にして、歴史の分岐点に立っているのです。(プーチン発言ーーヴァルダイ会議 2022年10月27日、佐藤優訳より)



おそらく世界の脱ドル化が鍵で、もしそれがそうそうに実現すれば、米国自体がブラックホールにまっしぐらということもありうる。