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2023年7月22日土曜日

主体の回帰(トラウマの回帰、喪われた対象の回帰)

 


誰も言ってないって言うが、日本ラカン派はトロいんだよ、僕は折に触れてそう言ってきたけどさ。


そもそもラカンの主体ーー厳密には斜線を引かれた欲動の主体$ーーは穴だよ。


現実界のなかの穴は主体である[Un trou dans le réel, voilà le sujet]. (Lacan, S13, 15 Décembre 1965)

主体とは、欲動の藪のなかで燃え穿たれた穴に過ぎない[Le sujet …rond brûlé dans la brousse des pulsions](Lacan, E666, 1960)



で、前回示したようにこの穴はトラウマだ。


現実界は穴=トラウマをなす[le Réel …fait « troumatisme ».](Lacan, S21, 19 Février 1974)

ラカンの穴=トラウマによる言葉遊び。トラウマの穴はそこにある。そしてこの穴の唯一の定義は、主体をその場に置くことである[le jeu de mots de Lacan sur le troumatisme. Le trou du traumatisme est là, et ce trou est la seule définition qu'on puisse donner du sujet à cette place](J.-A. MILLER, - Illuminations profanes - 10/05/2006)



主体が穴ということは主体はトラウマだ。


人はみなトラウマ化されている。 この意味はすべての人にとって穴があるということである。[tout le monde est traumatisé …ce qu'il y a pour tous ceux-là, c'est un trou.](J.-A. Miller, Vie de Lacan, 17/03/2010 )



主体がトラウマ化されているということは原抑圧されているということだ。それが、「トラウマの穴を原抑圧に認知する」の意味。


私が目指すこの穴、それを原抑圧自体のなかに認知する[c'est ce trou que je vise, que je reconnais dans l'Urverdrängung elle-même].(Lacan, S23, 09 Décembre 1975)


だから、「原抑圧されたものの回帰」は「トラウマの回帰」であり、かつまた「主体の回帰」だよ。


そして主体のトラウマは喪われた対象と等価。


主体はどこにあるのか? われわれは唯一、喪われた対象としての主体を見出しうる[Où est le sujet ? On ne peut trouver le sujet que comme objet perdu. ](Lacan, De la structure en tant qu'immixtion d'un Autre préalable à tout sujet possible, Baltimore, 1966)


したがって原抑圧されたものの回帰は「喪われた対象の回帰」だ。



これは、前回示したつもりだが、すべてフロイトにある。


以上。