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2023年12月9日土曜日

NED(全米民主主義基金)の実態に目を向けて下さることを、ひたすら祈るばかりだ(遠藤誉)

 

遠藤誉さんのNED(全米民主主義基金)をめぐる一連のコラムは決定的じゃないかね、少なくとも私には眩暈がするほどの驚きと、国際政治を見るための新しい視点を与えてくれた。


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遂につかんだ! ベルリンの壁崩壊もソ連崩壊も、背後にNED(全米民主主義基金)が!

遠藤誉

8/21(月) 

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ウクライナ危機を生んだのは誰か? 露ウに民主化運動を仕掛け続けた全米民主主義基金NED PartⅠ  

10/4(水) 

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ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartⅡ2000-2008 台湾有事を招くNEDの正体を知るために 

10/9(月) 

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ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartⅢ 2009-2015 台湾有事を招くNEDの正体を知るため 

11/29(水) 

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ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartⅣ 2016-2022 台湾有事を招くNEDの正体を知るため

12/4(月)

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周庭さんもNED(全米民主主義基金)からの支援

12/8(金)



遠藤誉さんはNEDの悪を豊富なデータで立証しているのだが、ここではそれを割愛して畏姉の文のみを抜き出しておく。



◼️遂につかんだ! ベルリンの壁崩壊もソ連崩壊も、背後にNED(全米民主主義基金)が! 遠藤誉 2023/8/21

 そもそもアメリカのネオコン(新保守主義)は、世界最大の共産主義国家としてアメリカに脅威を与えていたソ連を打倒するためにNEDを1983年に結成したようなものだから、「ベルリンの壁崩壊」と「ソ連崩壊」のプロセスで、ネオコンあるいはNEDが何をしたかをつぶさに考察することは、現在のウクライナ戦争や、巨大化した中国を潰すためにアメリカが唱える「台湾有事」を分析するのには欠かせないエレメントだ。〔・・・〕


 NEDが創設されるのは1983年だが、その設立を主導したネオコンは1960年代辺りからアメリカ政界で活動し始めている。その中の一人にズビグネフ・ブレジンスキー(1928-2017年)元米大統領補佐官(カーター政権時代、国家安全保障問題担当)がいる(1988年から1997年の間はNEDの理事)。ポーランド貴族だったブレジンスキー家の高貴な血筋を受け継いでおり、ポーランドに生まれたブレジンスキーは外交官だった父親に伴われてベルリンで(1931-1935年)アドルフ・ヒトラーの台頭を目撃し、その後父親のモスクワ赴任に伴いヨシフ・スターリンの大粛清を経験。1938年のカナダ赴任によりカナダで育ち、最終的にアメリカに定住することとなった。ブレジンスキーは祖国ポーランドがドイツに侵略されただけでなく、第二次世界大戦後は今度はソ連体制下に置かれていることから、ソ連を心の底から憎み、何としてもソ連を打倒したいという強烈な意志に燃えていた。


 その怨念を、ポーランドの大司教をローマ教皇にするという史上初めての試みを通して晴らすのだから、スケールの大きさが違う。〔・・・〕


 拙著『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』で詳述したように「台湾有事」を創り出しているのは「第二のCIA」であるNEDだ。ブレジンスキーはソ連崩壊に関してはかなりハイレベルのスマートな手段を使ったが、彼とて基本的にはネオコンの軍産複合体に根差しており、NATOの東方拡大には賛成だという好戦的姿勢だった。


 ブレジンスキーの思想はオバマ政権とバイデン政権にバイブルのように受け継がれているので、NEDはどんなことでも仕掛けてくる可能性を秘めている。(ロシアを倒すための)ウクライナ戦争自身が、その中の一つだ(これに関しては折を見てNEDのデータを示しながら分析する)。




◼️ウクライナ危機を生んだのは誰か? 露ウに民主化運動を仕掛け続けた全米民主主義基金NED PartⅠ  遠藤誉 2023/10/4

 ソ連崩壊とベルリンの壁崩壊などに関して全米民主主義基金NED(National Endowment for Democracy)が関与していたことはNEDの「年次報告書」のデータから判明したが(参照:8月21日のコラム<遂につかんだ! ベルリンの壁崩壊もソ連崩壊も、背後にNED(全米民主主義基金)が!>)、崩壊後からこんにちに至るまで、ロシアを徹底して潰そうとNEDが暗躍し続けてきたことが、同じくNEDの年次報告書から判明した。


 ここからNEDが計画的に台湾有事を招き日本を戦争に巻き込む戦略が見えてくる。


 そもそも筆者が、なぜアメリカの組織であるNEDなどに深い興味を持つに至ったかというと、中東諸国が中国に近づき始めたことがきっかけだった。特にアメリカの友好国であったサウジアラビアと、アメリカに最も嫌われ厳しい制裁を受けているイランが中国の仲介により和解したときに、関係国の資料を読むと、いたるところに「二度と再びアメリカが起こしたカラー革命により紛争と混乱を招かれたくない」という趣旨の強烈な思いが中東諸国にあることを知った。習近平とプーチンの会談においても、中国語で「顔色革命(カラー革命)」という文字を使って「絶対に顔色革命を再現させてはならない」という言葉が目立った。


 そこで、カラー革命に関して調べ始めたところ、それらは全てアメリカのNEDが起こしていたことを初めて知ったのである。そのときの驚きは尋常ではない。




◼️ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartⅡ2000-2008 台湾有事を招くNEDの正体を知るために 遠藤誉 2023/10/9

 アメリカの軍産複合体を支えるネオコン(新保守主義)指導下で1983年に設立された全米民主主義基金NED(第二のCIA)は、プーチン政権になるとロシア経済が息を吹き返したため、プーチン政権を潰すべく旧ソ連圏諸国におけるカラー革命を加速し始めた。カラー革命は「現政権の選挙不正を口実にして民衆を焚きつける手法」で共通している。その中の一つにウクライナのオレンジ革命がある。〔・・・〕


……旧ソ連圏諸国から囲い込むようにカラー革命を起こしては親露の現政権を転覆させ、ウクライナでは2004年11月にオレンジ革命を起こすことに成功している。

 ウクライナの親露派のクチマ大統領に代わって、同じく親露派のヤヌコーヴィチ氏が大統領に当選すると、「選挙に不正があった」として民衆を焚きつけ、選挙のやり直しをさせることに成功した。

 その結果、欧米寄りのユシチェンコ氏が大統領に当選するのだが、出口調査から開票、報道、民意調査すべてをNEDが支援する団体に行わせているので、「どちらが不正選挙か」と言いたくなるほどだ。




◼️ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartⅢ 2009-2015 台湾有事を招くNEDの正体を知るため 遠藤誉 2023/11/29

 NED設立の母体になっているアメリカのネオコン(新保守主義)の根城を形成しているヌーランド国務次官補(当時)もバイデンとペアでマイダン革命勃発と親米(ポロシェンコ)政権誕生に没頭した。

 こんなことをされたためにプーチンはクリミア半島を地元住民の選挙を通して併合したわけだが、ここまでアメリカがウクライナの内政干渉をしたことは、日本のメディアでは、ほぼスルーするようになっている。

 そこの真実は、都合が悪いので、見たくないのだ。

 NHKでさえ、クリミア半島という言葉の枕言葉に、必ず「ロシアが一方的に併合した」という接頭語を付けないで「クリミア半島」という言葉を使ったことがない。驚くほどの徹底ぶりだ。



◼️ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartⅣ 2016-2022 台湾有事を招くNEDの正体を知るため  遠藤誉 2023/12/4

……驚くのは、NEDがこんなにまで深くロシアに入り込んでいることである。西側諸国でロシアのニュースとしてよく出て来る「独立系メディア」を、しっかり訓練してNEDの意思に沿った報道をさせており、NEDの助成金受給者がロシアの独立系メディアを動かしていることが浮き彫りになってくる。ロシアのウクライナ侵攻後も、侵攻に抗議するデモはNEDがロシアの市民団体を教育してデモを起こさせながら、「ロシアの国民が、こんなに抗議している」と西側諸国に発信している実態が、NEDの支援金内訳を見ることによって明らかになってきた。


 ウクライナに関しても同様で、2016年の最初に、NEDが「ウクライナはNEDのヨーロッパにおける最優先事項だ」と宣言していることからも、NEDがいかにウクライナに力を入れているかがわかるし、どんなことがあっても親露政権にだけは戻さないように、2017年になってもなお、かつてのヤヌコーヴィチ親露政権に抗議させた(NEDが支援し訓練した)ジャーナリストにNED民主賞を授与している。


 2019年~2022年に至っても、ひたすらメディアに支援金を渡し、メディアをコントロールしてアメリカに都合のいい情報を流すことに力が注がれていることが透けて見える。

 NEDの活動とともに、バイデン政権自身が、何としてもプーチンにウクライナを攻撃させるように、あらゆる軍事的支援を注いだり、NATO加盟へと誘導したりしていたことが、ウクライナにおけるアメリカとアメリカが主導するNATOの活動によって浮かび上がってくる。それはバイデンがまだ副大統領だった2009年から始まっている。


バイデンは「NATO加盟をウクライナの最優先事項にせよ」とウクライナ議会に要求して、ウクライナ憲法に「ウクライナの首相はNATO加盟を努力義務とする」と書き込ませたほどの内政干渉をしている。国際法違反もはなはだしいのだが、何せメディアをコントロールしているのがNEDなので、西側メディアは意図的にスルーしている。〔・・・〕


 筆者がなぜ執拗に「ウクライナ危機を生んだのは誰か?」を追跡するかというと、アメリカは「台湾有事」も、ウクライナ危機を生ませたのと類似の手口で創り出すであろうことを懸念するからだ。


 今年8月21日のコラム<遂につかんだ! ベルリンの壁崩壊もソ連崩壊も、背後にNED(全米民主主義基金)が!>では、いかにアメリカが旧ソ連を潰したかったかをデータに基づいて考察した。


 今般の「ウクライナ危機を生んだのは誰か?」シリーズでも、PartⅠからPartⅣをご覧いただければ、いかにアメリカが、特にバイデンがロシアを潰すために2009年から凄まじい動きをしてきたかが、お分かりいただけるだろう。


 ロシアを潰し終わったら、次に潰しにかかるのは中国である。


 中国を潰すには、何としても台湾人に「独立」を叫んでもらって、中国に台湾を武力攻撃してもらうのが一番早い。


 その生死を分けた闘いがいま台湾で総統選を巡って展開されている。そこで活躍しているのは2003年に設立されたNED台湾支部「台湾民主基金会」だ。〔・・・〕


 日本が戦争に巻き込まれる事態は目前に迫っている。


 日中戦争、国共内戦そして朝鮮戦争と3つの戦争を実体験した者として、どのようなことがあっても、日本が再び戦争に巻き込まれることだけは避けたい。そのためにはNEDの実態を見抜く以外にない。一人でも多くの読者の方々がこの真相に目を向けて下さることを、ひたすら祈るばかりだ。





◼️周庭さんもNED(全米民主主義基金)からの支援

遠藤誉 2023/12/8

 香港の民主活動家だった周庭(アグネス・チョウ)さんがカナダに亡命し、二度と香港に戻らないことを表明したが、彼女もまたNED(全米民主主義基金)の支援の下でデモ活動をしていたのかと思うと、何とも複雑だ。〔・・・〕

 香港の民主化運動は、すべてNEDかその下部組織であるNDIが組織しているので、まとめてNEDが指導組織していると断言していいだろう。〔・・・〕


 もちろん香港には、小さいころから民主の心を持って正義感に満ち溢れる少年少女たちは多かっただろうが、なにせNEDは1994年から香港入りしているので、周庭さんのように、1996年に生まれた人などは、物心つき成人したころには既にNEDが浸透しきっていて、その影響から民主化運動的な気持ちを持つに至っている要素もあるだろう。

 そのための教育訓練センターや啓蒙組織などを、NEDは1990年代から立ち上げており、支援金も溢れるほど惜しみなく注いでいる。

 1989年6月4日の天安門事件の後もそうだったが、主要人物はハーバード大学やオックスフォード大学などに迎え入れ、社会人となったあとにNEDの活動に協力して「再生産」をくり返している事実を、見たくはないだろうが、直視した方が良いだろう。

 1940年代における国共内戦で中国共産党の食糧封鎖によって家族を餓死によって失っただけでなく餓死体の上で野宿させられた筆者としては、中国共産党の言論弾圧を受け容れることはできない。しかし、その上でなお、香港の民主化デモは、結局のところ中国共産党とNEDとの闘いであったことを見逃してはならない。

 日本が戦争に巻き込まれないようにするためには、それが必要なのだ。

 民主化するのは悪いことではないにせよ、ウクライナのように、「ロシアを潰すために利用された例」も少なくないのだから、次のターゲットは台湾になることは目に見えているので、日本人に直接関係してくる。

 その相関性に関しては、10月4日のコラム<ウクライナ危機を生んだのは誰か? 露ウに民主化運動を仕掛け続けた全米民主主義基金NED PartⅠ>から始まり、最終回として書いた12月4日のコラム<ウクライナ危機を生んだのは誰か?PartⅣ 2016-2022 台湾有事を招くNEDの正体を知るため>などの「ウクライナ危機を生んだのは誰か?」シリーズをお目通し頂ければ、ご理解いただけるものと信じる。

 台湾有事を起こすか否かは、中国共産党とアメリカのNEDとの闘いであって、来年1月の台湾総統選に、台湾人自身の民意が、どのような「判決」を下すかで、日本の運命も決まる。

 そのことを考えれば、周庭さんの真相も、見たくはないだろうが、感情に流されずに冷静に直視した方がいいのではないかと思うのである。



上に《1940年代における国共内戦で中国共産党の食糧封鎖によって家族を餓死によって失っただけでなく餓死体の上で野宿させられた筆者》とあるが、1941年、満州国新京市(現:吉林省長春市)生れの遠藤誉さんは、長春包囲戦の惨禍の中、家族(弟、叔父、いとこ)を餓えで失うという過酷な出来事を体験している。つまり遠藤誉さんは外傷性戦争神経症をもっておられる筈である。そしてそれが戦争忌避のための凄まじい知の欲動あるいは探究欲動[Wiß- oder Forschertrieb]ーー知へと駆り立てる力ーーを生み出しているのだろう。



……阪神・淡路大震災の被害者への共感は、過去の震災、戦災の経験者に著しく、トラウマは「共感」「同情」の成長の原点となる面をも持つということができまいか。心に傷のない人間があろうか(「季節よ、城よ、無傷な心がどこにあろう」――ランボー「地獄の一季節」)。心の傷は、人間的な心の持ち主の証でもある。(中井久夫「トラウマとその治療経験――外傷性障害私見」2000年『徴候・記憶・外傷』所収)




なおYouTubeに、少し前の2023年9月30日だが、遠藤さんのNEDについてのインタビューもある。➡︎台湾有事を創り出すNEDとは?(遠藤誉先生オンラインインタビュー






このNED(全米民主主義基金)の遠藤誉さんによる最も簡潔な定義は、2023-07-03の記事にもある。


◼️習近平が反スパイ法を改正した理由その1 NED(全米民主主義基金)の潜伏活動に対抗するため 遠藤誉 2023-07-03

 NEDは1983年に「他国の民主化を支援する」目的で設立された。

 実態は、創設者の一人が言ったように「第二のCIA」だ。

 親米的ではない他国の政権を転覆させるために、その国の市民に呼び掛けて、市民活動を支援する形で「民主化デモ」を煽る。NEDは民間の非営利組織と喧伝しているが、財政の資源はほとんど全てアメリカ政府が出している。




最後に以前拾った文も再掲しておこう。


筆者は言論弾圧をする中国を肯定しない。それは筆者の基本だ。その決意は『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』で明確にしている。

 しかし、だからといって、「民主」の名のもとに「アメリカ脳」を染みこませては戦争を仕掛け続けるアメリカの手法に賛同するわけにはいかない。

 戦争だけは、絶対に反対を主張し続ける。

 そして戦争の元凶を徹底して見極めるのが筆者の使命でもある。(遠藤誉「脱ドル加速と中国仲介後の中東和解外交雪崩現象」2023/4/6)