神ならばゆららさららと降りたまへいかなる神かもの恥ぢはする(梁塵秘抄) |
いやあ、Yurara Sararaさんの作品は本当にいい、10周年記念だってよ、 |
🎥 CALM GARDENS IN JAPAN 心が落ち着く日本庭園集 #侘び寂び |
僕は京都に足掛け12年ほど住んだのだが、これこそ真に喪われた対象だね。庭というのは旅行で訪れるのではなく、本来は近場にあって馴染んで感受するものではないか。少なくとも僕の場合は、センチメンタルジャーニーで訪れても《ああ おまえはなにをして来たのだと……/吹き来る風が私に云う》だったね。彼女の映像作品は旅行者向きではなく、ひょっとしてある種の人は楽しめないかも知れないが、僕の場合、ああ、あのときの、あの場の感触!と震撼させられる。
Yurara Sararaさんの作品はどれも素晴らしいが、最初にひどく打たれたのは、4年前の作品「京都の朝 ベスト25景」だった。この早朝の風景にはそこらじゅうに「僕」がいるんだ。
特に、松尾橋のたもと近くに住んでいたので、嵐山の奥にある嵯峨豆腐屋「森嘉」に早朝自転車でしばしば買い物に行った。飛龍頭(ひろうす)が絶品だったね(そもそも早く行かないと売り切れる)。その途中に出会った風景がふんだんにある。それに京都府立植物園の傍の賀茂川散歩道もひどく愛した。あそこの飛び石というのは、《赤いスカートをからげて夏の夕方/小さな流れを渡ったのを知っている/そのときのひなたくさいあなたを見たかった/と思う私の気持ちは/とり返しのつかない悔いのようだ》(谷川俊太郎「素足」)だよ。少し南に下りたところにある鴨川デルタも同様。祇園の石塀小路の早朝風景は知らないが、深夜2時頃のデルタ神(?)だったらいくらか知らないではない、ーー《神ならばゆららさららと降りたまへいかなる神かもの恥ぢはする》という具合に。
いま見てもまたまた胸キュンレミニサンスで呆然とする。ああ、あの銀杏と百合根が入ったひろうすが食いたい。30キロ先の隣国との国境に大きな寺院があって、その町の豆腐が美味だから、その湯豆腐で妥協しとくか、
湯豆腐やいのちのはてのうすあかり(久保田萬太郞)