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2025年10月10日金曜日

安倍晋三による高市早苗への遺言

 


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◾️ジム・ロジャーズインタビュー「アベノミクスの行方」ロイター通信 我謝京子氏 2014年2月25日

安倍氏は大惨事を起こした人物として歴史に名を残すことになるでしょう。

これから20年後を振り返った時に、彼が日本を崩壊させた人物だと皆が気づくことになるでしょう。

アベノミクスには三本の矢がありますが、3本目の矢は日本の背中に向かってくるでしょう。日本を崩壊させることになるでしょう。紙幣を刷る事と通貨価値を下げる事で経済を回復させることは絶対できない。長期的にも、中期的でさえ無理です。


…………

私はアベノミクスを馬鹿(?)にするとき、しばしば安倍晋三の次の発言を掲げてきた。


「子どもたちの世代にツケを回すなという批判がずっと安倍政権にあったが、その批判は正しくないんです。なぜかというとコロナ対策においては政府・日本銀行連合軍でやっていますが、政府が発行する国債は日銀がほぼ全部買い取ってくれています」


「みなさん、どうやって日銀は政府が出す巨大な国債を買うと思います? どこかのお金を借りてくると思ってますか。それは違います。紙とインクでお札を刷るんです。20円で1万円札が出来るんです」(安倍晋三新潟県三条市での講演ーー2021年7月10日)



ところで今話題の「給付付き税額控除」を勉強するために森信茂樹氏の「ベーシックインカムと給付付き税額控除 ―デジタル・セーフティネットの提言―」(2024年、PDF)を眺めていたら、安倍回顧録からの引用がある。上の文を捕捉するような発言である。


「財務省の発信があまりに強くて、多くの人が勘違いしていますが、さまざまなコロナ対策のために国債を発行しても、孫や子に借金を回しているわけではありません。日本銀行が国債を全部買っているのです。日本銀行は国の子会社のような存在ですから、問題ないのです。信用が高いことが条件ですけどね。」 


「国債発行によって起こりうる懸念として、ハイパーインフレや円の暴落が言われますが、現実に両方とも起こっていないでしょう。インフレどころか、日本はなおデフレ圧力に苦しんでいるんですよ。財務省の説明は破綻しているのです。もし行き過ぎたインフレの可能性が高まれば、直ちに緊縮財政をおこなえばいいわけです。」(安倍晋三回顧録、2023年)


あの安倍でさえも《もし行き過ぎたインフレの可能性が高まれば、直ちに緊縮財政をおこなえばいい》と言ってるわけだな。

で、安倍ゾッコンの高市早苗の積極財政ってなんだろ、このインフレ期に? 不思議だねぇ。


……………

という話はさておき、先の森信茂樹氏の「給付付き税額控除」の議論はとっても勉強になるよ。

例えばこうある。

基本的な仕組みは,「一定以上の勤労所得のある世帯に対して,勤労を条件に税額控除(減税)を与え,所得が低く控除し切れない場合には還付・給付する。税額控除額は,所得の増加とともに増加するが,一定の所得で頭打ちにな り,それを超えると逓減し最終的には消失する」という制度である。ただし,仕組みは各国の事情に応じて異なっている。また,申告時に還付される米国を除き,一定の要件を満たした場合に給付措置として行われることが一般的である。その意味で,給付付き税額控除という言葉はややミスリーディングといえよう。(森信茂樹「ベーシックインカムと給付付き税額控除」2024年)


実際、奇妙な言葉だよ、給付付き税額控除 (refundable tax credit)なんて。別の言い方を探したほうがいいね、もし本当に導入するなら。


元日経デスクの磯野直之氏が「低所得者向け負の所得税」と言っているが、実態はこれだろうな。






なおフリードマンの「負の所得税」の考え方はーーむかし拾った論文からだがーー次の通り。

ミルトン・フリードマンは1962年に、貧困者対策として「負の所得税」構想を提起した。それは、第一に、すべての人および課税基盤の全体に対して唯一つの税率を適用すること、第二に、基礎的な人的控除と厳密な意味での必要経費以外に一切の控除を認めず、所得の総額に課税することを前提した上で、 「所得が課税最低限度を下回る場合に、その差額分に税率を掛け合わせたものを補助金として支給する制度である。 」 (フリードマン、1984)。彼はこれについて、 「現在の徴税機構をそのまま利用し、ある所得水準に達しないすべての人々に財政援助を与えよう」という考え方であると説明している。


夫婦と子ども 2 人の 4 人家族で、所得税控除額が3000ドルというケースで考えてみよう。その家族の所得が3000ドルであったとすれば、所得と控除が相殺されて課税所得はゼロとなり、税金を払う必要はない。4000ドルの所得があると、控除を差し引いた1000ドルに均一の税率が適用される。2000ドルの所得の場合には、課税所得はマイナス1000ドルとなり、負の所得税率が50%であるとすれば、負の所得税として500ドルが給付される。所得がゼロの場合には、課税所得はマイナス3000ドルとなり、給付される金額は1500ドルになる。この例では、税金を払わず、給付も受けないという所得の水準が3000ドルで、最低保障所得は1500ドルになるが、フリードマンはこの二つの金額に差があることが、低所得家庭に自ら収入を得ようとする意欲を失わせないために、重要であると言う。また、このような包括的な制度の実現によって、児童手当や生活保護などの直接救済制度を完全に廃止することが可能になると主張する。(加茂直樹「日本の社会保障制度の現代的課題」2009年)



給付付き税額控除とフリードマンの負の所得税は微妙に違うところがあるのだろうが、基本メカニズムはおそらく上のようなものだろう。