このブログを検索

2025年10月25日土曜日

移民嫌いの帰結

 

プーチンでさえ移民についてこう言っているようだな、



ま、「無制限の移民」とあるので、日本のようなわずかの移民人口の国での「移民反対」とはわけが違うのだろうが。



日本の場合は、経済学者は移民推進を言う人が多いが、社会は移民を嫌う。


以前にマルクスのボロメオの環(政治・社会・経済)を示したことがあるがね。



ちなみに柄谷版とジジェク版のボロメオの環は次の通り。



柄谷行人的に言えば、日本の場合、ネーション(国民あるいは共同体)は移民嫌いだが、資本は移民を好むということだ。そして国家は資本への目配りが大きいなら移民推進となるし、国民への目配り(選挙での票の獲得)が大きいなら移民反対となる。後者はポピュリズムだ。


ネーションを形成したのは、二つの動因である。一つは、中世以来の農村が解体されたために失われた共同体を想像的に回復しようとすることである。もう一つは、絶対王政の下で臣民とされていた人々が、その状態を脱して主体として自立したことである。しかし、実際は、それによって彼らは自発的に国家に従属したのである。1848年革命が歴史的に重要なのは、その時点で、資本=ネーション=国家が各地に出現したからだ。さらに、そのあと、資本=ネーション=国家と他の資本=ネーション=国家が衝突するケースが見られるようになる。その最初が、普仏戦争である。私の考えでは、これが世界史において最初の帝国主義戦争である。そのとき、資本・国家だけでなく、ネーションが重要な役割を果たすようになった。交換様式でいえば、ネーションは、Aの ”低次元での” 回復である。ゆえに、それは、国家(B)・資本(C)と共存すると同時に、それらの抗する何かをもっている。政治的にそれを活用したのが、イタリアのファシズムやドイツのナチズムであった。今日では、概してポピュリズムと呼ばれるものに、それが残っている。(柄谷行人『力と交換様式』2022年)


ま、移民なしで経済成り立つのか、という問いがないのがほとんどの一般大衆であろうし、今後も移民嫌いのままの日本のポピュリズムだろうよ。


そもそも東南アジアからの移民はもう来てくれなくなる傾向があるんだろうからいっそう諦めるほかないね。




で、何を諦めるんだろ、経済成長かい? このまま貧困国への道をまっしぐら? さあってね


白川方明元日銀総裁は、2014年、米国のビジネススクールで講演して次のように言っていたがね。


日本経済の主な問題はデフレではなく、人口動態である[The main problem in the Japanese economy is not deflation, it's demographics] (白川方明 Masaaki Shirakawa, at the Tuck School of Business at Dartmouth College, 2014.05.13)



実際、生産年齢人口は1995年から下がっているのだから、経済的には移民を入れないとどうしようもなかったんだよ。





あとは労働生産性を高めるしかないのだが、これは生産性の低い労働者や中小企業の排除がまずは最短最適の手段。だが温情主義の日本でそんなことを国民が許すわけはない。要するに国民が選択したんだな、日本貧困化を。国民の意図せざる意志で衰退途上国になってしまったんだ。政治のせいにする人が多いが実際はそうじゃない。政治のせいと言うなら、政治家が国民に色目を使い過ぎたせいだ(もっともアベノミクス導入という諸悪の根源はここでは敢えて割愛してーー愚かな「なんでも政府が悪い派」に刺激を与えるためにーー言っているところはあるがね)。で、やっぱり諦めるしかないんだよ。