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折に触れて繰り返し掲げてきたが、今起こっているのは深尾光洋氏ーー元日銀金融研究所調査役、元日銀調査統計局参事等を歴任した慶應名誉教授ーーが2012年に示したシナリオの(6)から(7)だよ。 |
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◼️日本の財政破綻のシナリオーー深尾光洋「日本の財政赤字の維持可能性」2012年、PDF |
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(1)選挙民を恐れる政治家が増税を先延ばし続けて政府の累積赤字が拡大する。この結果、金利上昇による利払い負担増加のリスクが蓄積されていく。 (2) 日本の金融資産の大部分を保有する 50 歳以上の高齢者層も、 政府に対する信頼を徐々になくし、円から不動産、株式、外貨、金等に資金を移動し始める。 (3)長期国債価格が下落し、長期金利が上昇を始める。 (4)新規発行や借り換え国債の利払い負担増加に直面した政府が、発行国債の満期構成を短縮し、主に短期国債で赤字をファイナンスするようになる。日銀がゼロ金利政策を続けている間は、 政府の利払い負担は増加せず、 財政破綻を先延ばしできる。 しかし同時に、国債の満期構成の短期化は、将来の短期金利の上昇で、政府の利払いが急増するリスクを増大させる。 |
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(5)政府の財政悪化に伴い、上記(2)の資金シフトが加速する。特に高齢化に伴う貯蓄率の低下や財政赤字の拡大によって経常収支が赤字化すると、大幅な円安になるリスクが高まる。実際に円安、株高が発生すれば、景気にはプラスとなりバブル的な景気回復を達成する可能性もある。そうなればインフレ率も上昇し始める。景気回復は税収を増大させ、財政赤字を減少させる。この時点で大幅な増税と赤字の削減が出来れば、財政破綻は避けられる可能性がある。 =>この場合、政府はタイミングの良い増税で健全化を達成できる。 しかし政府が増税に躊躇すると、以下のシナリオに突入する。 |
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(6)日銀はインフレ率の上昇に対して金利引き上げによる金融引き締めを行うが、これで政府の利払いが爆発的に増大し、政府の信用が急激に低下する。 (7)政府が日銀の金融政策に介入して、低金利を強制したり、国債の買い取りを強制したりすれば、インフレがさらに加速し、国債価格は暴落する。 (8)金利の急激な上昇で長期国債を大量に保有する銀行が、巨額の損失を被り、政府に資金援助を要請する。 |
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(9)政府が日銀に国債の低利引き受けを強制する場合には、政府は利払い増加による政府債務の急増を避けることが出来る。この場合は、敗戦直後のインフレ期と同様に、政府債務を大幅に引き下げることが可能で、政府は財政バランスの回復に成功する。しかし、所得分配の上では、預金や国債、生命保険、個人年金などの金融資産を保有する人々が、その実質価値の喪失で巨額の損失を被る。 =>この場合、政府はインフレタックスにより財政を健全化できる。しかし金融資産の実質価値の大幅低下により、生活資金に困る多数の人々を生み出す。 |
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で、向かう先は財政破綻というより、最後にインフレタックスとあるように、インフレ税だね。これがハイパーインフレまでいくかどうかはいざ知らず。実際殆ど厳密にーー細部に若干の異同はあるにせよーー深尾光洋氏のシナリオ通りのことが起こっているし、今後の(8)(9)もうそうだよ。 ま、彼だけじゃないがね、こういう予測をしたのは。
(そもそも、かつて東大金融教育センター内に、2012年に発足した「『財政破綻後の日本経済の姿』に関する研究会」があったぐらいでね(代表は、井堀利宏(東大大学院教授)、貝塚啓明(東大名誉教授)、三輪芳朗(大阪学院大教授・東大名誉教授)。要するに財政破綻は必然だからもはや破綻の心配を云々するのでは無く、その破綻後どうするのかを考える研究会だ。) とはいえ最も簡潔に、箇条書き形式で示したのは深尾光洋氏だ(もちろん私の知る範囲で、ということだが)。いずれにせよ、アベノミクスで黒田日銀がこの危機を糊塗し、それプラス世界的に一時的な低金利だった幸運にも支えられて、一般大衆、いやそれだけでなく凡庸な政治家たちは、この危機に気づくのが10年遅れてしまったというのが現在の状況だ。ま、いまさら慌てふためいても遅いと言わざるを得ないね。 これが数日前掲げた元日経デスクの磯野さんがRobin Brooksの投稿に依拠しつつ言ってることだーー。 |
