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2026年3月14日土曜日

ペトロダラーからペトロ元への戦略


 ぺぺ・エスコバル(Pepe Escobar)とベン・ノートン(Ben Norton)が、イランの「ペトロダラー petrodollarからペトロ元 petroyuan への戦略を強調してるね。








ベン・ノートン曰く、《米国によるイランへの帝国主義的戦争は、もともとイスラエルを巡るものではなく、むしろ米国帝国がペトロダラー体制とドルの覇権を守ろうとする試みであった[the imperialist US war on Iran was not primarily about Israel, but rather an attempt by the US empire to save the petrodollar system and dollar hegemony.]》


少し前、《ペトロダラーシステムの打破による脱ドル化▶︎基軸通貨ドルの崩壊▶︎ハイパーインフレ》という投稿をしたところだが、私は政治に関して「自分の見解」を言うのを好まないのだが珍しくこう記してしまったな、「イランのグランドプランのひとつである「ペトロダラーシステムの打破」は、事実上BRICS、あるいは上海協力機構(SCO)の基本的戦略であり、つまりイランの背後には中国とロシアがいる」と。



ところで、ベン・ノートンは昨年の7月、マイケル・ハドソンに次のように問うている。


では、このペトロダラー体制について、そしてなぜイランがこの体制にとってこれほど大きな脅威と見なされているのかについてお話しいただけますか?つまり、それは米ドルの世界的な支配力そのものに対する直接的な挑戦を意味するのでしょうか?

So can you talk about this petrodollar system, and why Iran is seen as such a major challenge to this system? And really what that means is a direct challenge to the global dominance of the US dollar itself.

(マイケル・ハドソン「戦争の裏にある戦争」 The War Beneath the War By Michael Hudson, July 1, 2025


このノートン=ハドソンの記事は以前に一部だけ掲げたことがあるがとても面白いよ、米国のイラン侵略の背後に何があり得るかに思いを馳せるために。日本の経済音痴の国際政治学者が宗教戦争の相を強調しているのを垣間見たが、戦争にはそれに加えて主に覇権戦争、経済戦争がある。




すべてが経済戦争だというつもりは毛頭ないが、少し前にも示唆したように、三つの環のパララックスが肝腎だよ(柄谷行人が多大な影響を受けている『想像の共同体』のベネディクト・アンダーソンによればナショナリズムは宗教であり、宗教戦争は、より広く「ナショナリズム戦争」としてもよい。とすれば、たちまち柄谷のボロメオの環「資本=ネーション=国家」になる。柄谷の国家の定義はヘーゲル起源でありーー《国家はつねに他の国家に対して主権国家として存在する》[参照]ーー、覇権に関わる)。


ヘーゲルが『法の哲学』でとらえようとしたのは、資本=ネーション=国家という環である。このボロメオの環は、一面的なアプローチではとらえられない。ヘーゲルが右のような弁証法的記述をとったのは、そのためである。たとえば、ヘーゲルの考えから、国家主義者も、社会民主主義者も、ナショナリスト(民族主義者)も、それぞれ自らの論拠を引き出すことができる。しかも、ヘーゲルにもとづいて、それらのどれをも批判することもできる。それは、ヘーゲルが資本=ネーション=国家というボロメオの環を構造論的に把握した――彼の言い方でいえば、概念的に把握した(begreifen)――からである。ゆえに、ヘーゲルの哲学は、容易に否定することのできない力をもつのだ。


しかし、ヘーゲルにあっては、こうした環が根本的にネーションというかたちをとった想像力によって形成されていることが忘れられている。すなわち、ネーションが想像物でしかないということが忘れられている。だからまた、こうした環が揚棄される可能性があることがまったく見えなくなってしまうのである。(柄谷行人『世界史の構造』第9章、2010年)


ーー《想像界は影と反映の形象に過ぎない[imaginaires, …n'y font figure que d'ombres et de reflets. ]》(ラカン, E 11, 1956


柄谷とラカンのボロメオの環


※先の経済的相が強調されているマイケル・ハドソンの「戦争の裏にある戦争」はマイケル・ハドソン研究会の邦訳があるので、もし興味があるなら是非とも読まれたし。


…………


※附記


なおペトロ人民元についての一般的見解。