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2021年1月24日日曜日

人間の顔をした社会主義


1991年に来日したゴルバチョフが「日本は世界で最も成功した社会主義国だ」と言ったとか言わないとかいう話がーー文献は残っていないがーーかつてからあるのだが、ゴルバチョフがそう言おうと言うまいと、1970年半ばあたりから1980年代にかけての日本は世界の目からはそう見えたことは確かであろうし、日本内でも企業家や政治家などでそう言う人はあった。米国社会学者エズラ・ヴォーゲルが既に1979年、ジャパン アズ ナンバーワンと言ったということもある。


たぶんこれらのことが言いたいのは、あの時代の日本が、バブルはあったにせよ、「人間の顔をした社会主義」を実現した唯一の国に映ったと言うことだろう。


もっとも「人間の顔をした社会主義」はあまり縁起のいい言葉ではない。この言葉は「プラハの春」でチェコスロヴァキアのドプチェクが1968年4月に掲げた社会主義の新しい理念でありーー表現自体の創始者は哲学者ラドバン・リヒタ Radovan Richtaによるとされるーー、ソ連のブレジネフはこの動きを社会主義からの逸脱ととらえて1968年8月に軍事介入してお釈迦になったのだから。


何はともあれ最近の若い人はあの時代を知らないのだな、1990年から数えてももう30年たっている。実質的にあの時代を真に実感したのは当時30歳以上、今の60歳以上の人たちではないか。50歳ではダメなんだな、たとえばその年齢層のいわゆるインテリにはショボいヤツしかいないよ。


今の若い人はやっぱりとってもショボく見えるんだが、別のシアワセもあるんだろうよ、「人間の顔をした世界資本主義」のこの時代にね。スロベニア人ジジェクは、「人間の顔をしたルペン主義 le lepénisme à visage humain」とも仏紙のインタビューで言ったが、こういったのを楽しんでいるネトウヨくんたちとかさ。