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2021年9月19日日曜日

彼らはそれを知らないが、そうしている

 


ボクはもうあまり言いたくないけどな、敢えていうなら、資本主義ってのは、究極の非イデオロギー的イデオロギーだからさ、そのイデオロギーの奴隷になっているのが最も気付きにくいってことさ。


マルクスにこういうのがあるけどね


大洪水よ、わが亡きあとに来たれ!(後は野となれ山となれ!)、これがすべての資本家およびすべての資本主義国民のスローガンである[Après moi le déluge! ist der Wahlruf jedes Kapitalisten und jeder Kapitalistennation. ](マルクス『資本論』第1巻「絶対的剰余価値の生産」)


資本主義ってのは「後は野となれ山となれ!」なんだよ、たとえばボクがしばしば指摘する現在の「日本の財政ファイナンス」だけどさ、あれなんかまさに「後は野となれ山となれ!」だよ。たんに破局を先送りしているだけさ。ラカン的に言えば、まさに《資本の言説 は、とても巧みに自らを消費するため消費する[le discours capitaliste c…ça se consomme si bien que ça se consume]》( Lacan, Milan, le 12 mai 1972)。要するにウロボロスみたいなもんだ。


ま、日本が「財政的焼け野原」になるのは時間の問題だから、そのときマルクスの「正しさ」が証明されるさ。

人はみな自分はそんなことやってない、と思ってるんだよ、でも資本主義国民は、無意識的にそうするんだ。


彼らはそれを知らないが、そうする[ Sie wissen das nicht, aber sie tun es](マルクス『資本論』第1巻「一般的価値形態から貨幣形態への移行」)


ドゥルーズは死の二年前、こう言って死んでいったけどさ。


マルクスは間違っていたなどという主張を耳にする時、私には人が何を言いたいのか理解できません。マルクスは終わったなどと聞く時はなおさらです。現在急を要する仕事は、世界市場とは何なのか、その変化は何なのかを分析することです。そのためにはマルクスにもう一度立ち返らなければなりません。〔・・・〕


次の著作は『マルクスの偉大さ La grandeur de Marx』というタイトルになるでしょう。それが最後の本です。〔・・・〕私はもう文章を書きたくありません。マルクスに関する本を終えたら、筆を置くつもりでいます。そうして後は、絵を書くでしょう。(ドゥルーズ「思い出すこと」インタビュー1993年)


このところ、アフガニスタン問題で日本で最も優秀らしい国際政治家たちを観察したけどさ。ま、ボクに言わせれば、彼らだけでなく、マルクスに無知の現在の政治学者やら社会学者やら、さらに一般のインテリたちは、木瓜の花にしか見えないね。


イスラム原理主義に絞って言えば、アフガニスタンのタリバンは上層部の仲間内で殴り合いがあり、内戦が始まる気配がないでもないんだけど、外部に対しては「資本主義への抵抗運動」として徹底的に強いんだよ。こんなことは「コモンセンス」として昔から言われている話だ。


◼️「ハイパーメディア社会における自己・視線・権力 」(浅田彰  大澤真幸  柄谷行人  黒崎政男 1995

浅田)未来の問題がグローバルな次元で具体性を持って現われてきているにもかかわらず,個々の意識は「いま,ここ」の瞬間性の方に集中してしまっている.それが現代の主要矛盾なんじゃないですか. 〔・・・〕



柄谷)かつては第三世界というのがあった.第三世界としての統一性があったということですよ.しかし,もうそれはない.かわりに,すでに 80 年代からそうだったけど,現在いちばん世界的に広がっているのは,イスラム原理主義ですね.でも,これはなにも昔からあったものじゃないわけで,現在の先端的な資本主義に対する運動だと思うんです.その意味でこれは強い. 


浅田)イランなんかは,パーレビ王政下で欧米が武器から何から売り込んで,腐敗と癒着の限りを尽くした,それに対してイスラム原理主義が出てきたわけでしょう.しかも,ホメイニの説教がカセット・テープで広範に流布したことがイスラム革命に果たした役割は大きいと言われている.だから,あれは非常に現代的なものなんです. 〔・・・〕

大澤)原理主義というのは,いま支配的な情報資本主義に反抗するものとしては,いちばんはっきりしたスタンスをとれるわけでしょう.逆に言うと,原理主義ほど情報資本主義の中にいる知識人に評判の悪いものはない.しかし,ジジェクが言っているように,よく考えてみると,昔は原理的に行動するのが正しいとされ,そのつど方針を変えるやつは日和見主義と言われて信用されなかったわけですよ.それが,いまでは日和見主義のほうが倫理的だと言われ,原理主義の方がいちばん非倫理的だと思われている.倫理の意味が逆転してしまっている. 


柄谷)だから,僕はどちらもネガになっていると思うわけですよ.昔の第三世界というのは,進歩とか発展とか近代化を考えていた.それはもう全部あきらめたので,徹底的にラディカルにやる,と.他方,昔は第一世界もちゃんと主体的にやっていたのが,いまはもうそんなつもりもないんですよ.だからいまは,第一,第二, 第三といった構造は完全に消えてしまって,世界資本主義-対-原理主義ということになっているんですね. 


浅田)結局,現代の世界資本主義の矛盾は解きがたいとしか言いようがないでしょうね.





とはいえアフガニスタンでは殴り合いを始めたのはハッカーニだからな。


副官の一人だったハッカーニ師が内務大臣というのはブラックジョークのように思えます。 彼はいわば狂犬のような存在です。アルカイダともつながっていると言われますし、これまで国内でも爆破テロとか暴力行為をやってきていた人が、これからは治安の維持を担当するというのですから。(元国連アフガン特別ミッション政務官・田中浩一郎氏インタビュー高木徹 20210911


アルカイダ、アフガンに再集結の兆候」のたぐいの憶測がCIAなどから出ているのは当然だね。この今だったら、こっちのほうがタノシミカモナ・・・