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2022年7月15日金曜日

今秋のトリプルクライシスーー「エネルギー危機・食糧危機・債務危機」

 以前にも一度リンクしたが、いわゆる「国際政治アナリスト」伊藤貫の次の動画での話はとても傾聴に値するんじゃないかね、聞き書きされている方がいるからーー文字で残してくれるととても役に立つね、感謝!ーーその前半箇所を貼り付けておくよ。


【伊藤貫の真剣な雑談】第7回「文明の衝突とロシア国家哲学」[桜R4/6/25]


・・・聞き書きします・・・

米露関係についてお話するつもり。

 ここ一ヶ月くらいのワシントンから見て、ウクライナを戦場とするアメリカとロシアの衝突が、どういうふうに動いてきたかという説明。

 そして今後の国際政治にどういう影響をもたらすかということを話す。


クリントン政権:スーダンやコソボやセルビアで戦争。

ブッシュ息子政権:アフガニスタン・イラクで戦争。

オバマ政権:これら2国で戦争を続けると同時にリビアやシリアでも戦争開始。

しかし、こういう戦争は国際政治の構造を変えるような戦争ではなかった。

が、今年始まったウクライナで起きているアメリカとロシアの戦争は、国際政治の構造を根本的に変えてしまう戦争。


この影響は非常に長期間続くし、2030年代になっても今回の戦争がどういうふうに展開するかというので、要するに長時間続く地殻変動が起きる。

今回、ロシア政府の主張とロシアの知識人とロシアの外交政策のエリートグループが、どういう議論をしているのかということが、アラブ諸国の戦争とは違うレベルの面白さがある。面白いと言っては失礼だが。

過去500年間の国際政治史に残るような大規模な変動と、知的に非常に興味深い(今までの30年間の戦争よりも)


戦争状態の現状報告をする。

クライテリオン(雑誌)で今回の戦争が起きた3つの原因を説明している(伊藤貫氏がお書きになっている)

今回の戦争を何故アメリカが仕組んだのか。過去30年間のアメリカの対露政策の結果である。簡単に見出しレベルの説明すると


①アメリカ政府が少なくとも十数回、アメリカはNATOを独より東側には拡大しないと約束し、独・仏・英の政府を使って、その約束をロシアに伝えていたのに、

 その約束を露骨に破った。ロシアが何十回、その約束違反を抗議しても全く相手にしなかった。


②アメリカ社会の根の深い腐敗を示すものであるが、

 1990年代のロシアの経済困難。ロシアを民主化し民営化するという名目の元に行われた経済改革が

 実は、1993年の1月からクリントン政権とハーバード大学と、NYの投資銀行とヘッジファンドが仕組んだ大規模な窃盗事件であった。


 ロシアの自然資源・国有財産をアメリカが盗むためにやった経済改革プラン。面白い証拠がいくつも出てきたので、クライテリオンに証拠を並べて書いた。

 これだけ証拠が揃っているのにアメリカのマスコミは、アメリカの金融業者とハーバード大学の教授と財務長官、中央銀行総裁が直接関与していたことを

 全く問題にしていない。

 CIAの一番トップ・座長をやっていた情報分析担当官が公の場で抗議した、アメリカの金融業者とアメリカの政治家ロシアの国有財産を大規模に盗む巨大な犯罪に

 関与していると分析したのに、アメリカで何も起きなかった。

 他の国なら大スキャンダルになるのに、アメリカのマスコミとシンクタンクは全て無視した。

 2年前の大統領選挙で大規模な選挙違反が色んなところで起きていても、アメリカのマスコミは全部無視した。司法省もFBIも全部無視したのだ。


 1990年代のクリントン政権時代のアメリカ人とイスラエル人が、ロシアの国有財産の巨大な窃盗犯罪を仕組んでロシア人にやらせたのだ。

 そういうことを完全にカバーアップされてしまった。アメリカでは巨大な犯罪もカバーアップされて、誰も気が付かないふりをして、そして無しにしてしまう。



③2014年のウクライナのクーデター。ウクライナの民主化のためとなっているが、全くの嘘。アメリカの国務省とCIAがやらせた6000億円以上の資金を使って

 ウクライナの反ロシア派とウクライナの右翼(3つか4つの右翼がある)

 その連中がデモに参加し、普通の人を虐殺して、クーデターをやってウクライナ政府を乗っ取って、その結果ウクライナはアメリカの属国になった。

 アメリカのペンタゴンとCIAと国務省は、ウクライナの軍隊と右翼組織(人種差別組織)を利用して、ロシアを追い詰めていった。

 2014年からアメリカCIAと国務省とペンタゴンがやってきたことを見ると、今年の2月に始まった戦争というのは、起こるべきして起きた戦争であって、

 アメリカとロシアがウクライナを舞台として戦争を始めたというのは、何の不思議もない。


 1ヶ月位前にバチカンの法王が「今回の戦争は、NATO特にアメリカがウクライナ軍をNATOに組み入れる動きをしたから、ロシアはそれに対して

 危機感を感じてウクライナに攻め入らざるを得なかった」と言ったが、数日前にまた同じことを言った。

 ということは、ローマ法王はかなり怒っている。

 しかも彼が考えるのは、これはNATO、特にアメリカが仕掛けた戦争であると、ローマ法王は本気でそう思っているのだ。

 今回の戦争を仕掛けたのが誰であるかということをキチンと理解して、アメリカもヨーロッパも武器を送りつけて、戦争を長期化させて、

 その結果ウクライナ人が、もっと死ぬ。

 アメリカとイギリスは、そういうふうになっても何とも思ってない。ローマ法王は、こういう無駄な戦争は早く止めてほしいと思っておられるから

 今回の戦争はNATOが仕掛けた戦争であると、キチンと言っておられる。


 で、この窃盗事件で儲けたお金がアメリカに流れ込んでいることを、CIAのNo.1の担当官が言っている。

 クリントン政権のこの犯罪で、誰が得をしたかはミエミエなのだ。

 それを、アメリカ人が知らない。 これをCIAのトップが議会で証言してもマスコミは知らん顔。


伊・仏・独の大統領・首相がキエフに行った。この3人はなるべく早く戦争を止めさせたいと(伊藤貫氏はこの動きを喜んでいる)

この戦争は不道徳な戦争、つまりアメリカが仕掛けた、一見プーチンが突然襲いかかったように見えるが、過去30年間を分析すると、アメリカが仕掛けたと言わざるをえない。

ミアシャイマー、ジャック・マトロフ、ローマ法王もそう言っておられると。

但し、アメリカとイギリスはこの戦争を長期化させて、ロシアを徹底的に弱体化させようと、ロシアの国益に巨大なダメージを与えようと。

そういうことをやっている結果、ウクライナ人が何十万人死のうとも、アメリカ政府とイギリス政府は全然気にしてないと。

伊・仏・独が戦争を止めさせたいと言っても、簡単に収まるものではない。


2015年の2回目のミンスク協定があって、すでにロシアが占領しているドンバス地域に自治権を与えるということが決まっていた。

この戦争の落とし所は7年前から知恵が出ていて、しかも独と仏が斡旋したミンスク協定にウクライナとロシアも署名している。

今回の戦争は、このミンスク協定を実行していたら、起きる必要の無かった戦争なのに、アメリカ政府の強硬派とアメリカのネオコン(大部分は〇〇○人)は戦争をさせたかった。


ウクライナの右翼組織(アゾフ大隊やライトセクターとか)2015年のウクライナのクーデターで民間人の虐殺をやったのは、ライトセクターという右翼組織らしい。

右翼組織は戦争したくてたまらない組織だから、ミンスク協定に反対して駄目になってしまった。


先月と違って、ここ1ヶ月で、早く停戦したほうが良いと伊・仏・独とカトリック教会から出てきたことは喜ばしいこと。

戦争がこの先どうなるか予想するのは

非常に愚かなことであるが、それを承知で少しだけ予想させていただくと

今年の8月から11月頃にかけて停戦の可能性が、もしかしたら50%位あるのではないかと推測する(現在は)

何故か

全ての国がエネルギー価格の上昇、エネルギー危機で困っている。8月から9月には深刻な食糧危機も起きてくるだろう。


これだけではなくて、世界中の消費者物価と生産者物価が上がっているから、何処の国の中央銀行も金融を締めざるを得ない。要するに利子率を上げざるをえない。

そうすると世界中の発展途上国がエネルギー価格と食料価格で酷い目にあっているのに、それに加えて発展途上国の持っている債権の殆どはドルベーズなので、

支払うべき利子が突然上昇する。そうすると今年の秋にトリプルクライシス、3つの危機が同時に起きる。


 エネルギー危機・食糧危機・債務危機。 発展途上国が債務の利息を払えなくなる。


この3つが起きたら、世界経済は大混乱になる。

この3つが発生したら、アメリカ人もたまったものじゃない。金融混乱が起きるから。

今年の11月の米選挙で民主党はボロ負けするだろうと既に予測されているが、10月までに3つの危機が発生したら、民主党は上院も下院も議員が大量に落選することになる。


今は民主党議員は黙っているが、今以上に経済状態が悪くなって、トリプルクライシスが起きて、世界の経済状態がパニックになったら、民主党議員の3~4割は落選する可能性は出てくる。

この戦争を仕掛けた民主党自体が、この選挙でボロ負けする予測が強まると、彼らがまず音を上げて、ウクライナ政府に停戦条件を飲めというふうに圧力を掛けるのではないかというようなシナリオを(伊藤氏は)予測している。

今年の9月から11月にかけて5割くらいの可能性で、ロシアとウクライナは停戦協定を結べるのではないか。一刻も早く停戦してほしいと考えている。


但し、停戦したからと言って、アメリカとロシアの対立関係が解決するわけではない。

というのは、これまで述べたようにアメリカが過去30年間、物凄く意地悪な対露政策をやってきた結果なのだ。ロシア人はアメリカ人に完全に愛想を尽かしている。

(要するに、日本と韓国のようなもの。日本人は韓国人と口をきくのも嫌だいうように、ロシア人はアメリカ人を嫌だと思っている)

(アメリカ人は、攻撃的な態度でロシアの欠点ばかり叫び立ててくるとロシア人は思っている)