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2025年10月21日火曜日

金融寡頭勢力にとって他者はすべて獲物

 




アレックス・クライナー(Alex Krainer)は元ヘッジファンドマネージャーだそうだが、「実に正しい」ことを言ってるね、たまにはこういうしっかりした経済的知をもった人物の意見に耳を傾けないとな。


ミアシャイマーでさえ自らこう告白しているぐらいだからな、


◼️ミアシャイマー「ウクライナ、台湾、そして真の戦争の原因」2023年12月8日

Ukraine, Taiwan and The True Cause of War – John Mearsheimer  

in an interview with  John Anderson Dec 8, 2023

ミアシャイマー:まず、私の発言の前提として、経済学は私の得意分野ではないということを理解してほしい。得意分野は地政学です。だから、私が言うことは鵜呑みにしないでください。

I would just preface my remarks by saying you want to understand that economics is not my forte. Geopolitics is. So what I say should be taken with a grain of salt.



だから政治学者だけでなく気合い系の軍事評論家のたぐいの言葉を鵜呑みにしないことだよ。もちろん経済のみに強い人物の言葉も同様に鵜呑みにしてはならないがね。


◼️アレックス・クライナー「ヨーロッパの軍国主義と経済的衰退」

―『グレン・ディーセン・チャネル』2025年10月20日

Alex Krainer: Europe's Militarism & Economic Decline, Glenn Diesen, Oct 20, 2025

以前私たちが議論した通り、これは二つの統治システム間の対立なのです。つまり、植民地支配と植民地略奪を常に志向するヨーロッパの寡頭的帝国主義体制と、西欧諸国の国内住民を含むほぼ全ての他者との対立です。


そして利害関係者を理解する必要があります。この新植民地主義的統治システムを推進しているのは、金融寡頭勢力です。彼らにとって、ロシアや中国、イラン、その他の中東諸国のみならず、人類全体が獲物に過ぎません。


彼らは捕食者であり、他者は全て獲物なのです。したがって、彼らが世界における権力掌握、支配、覇権を維持するためには、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、カナダといった国内の経済や社会を、いとも容易く犠牲にするでしょう。


ウクライナでの勝利が遠のくにつれ――これはおそらく彼らが現在世界で最優先する戦場でしょう――彼らはますます強硬姿勢を強め、自らが基盤を置くホスト社会、すなわち国内社会を疲弊させています。


ドイツ、フランス、英国、米国、イタリアなどの経済は 完全に崩壊しつつあります。そして彼らが権力の座に据えた者たちは全く関心を示さず、口にするのはウクライナのことばかり、ロシアとの戦争を続けることばかりです。


これは予測が難しいことではありません。彼らが取る行動として明白なことなのです。なぜなら彼らには別のビジネスモデルが存在しないからです。彼らは興味がありません。独立した中立的な経済や社会として、個々の主権国家を管理することや、生活水準の向上、繁栄、雇用、工業生産といった素晴らしい政策を構築することには関心がありません。


ロシアではそれが見られます。中国でも見られます。他の地域でも見られます。しかし西側諸国では、私たちは一様に、ますます露骨なファシズムに似たものへと滑り落ちています。あらゆるものが銀行寡頭勢力の利益と、その企業クライアントの利益に従属させられています。


そして今や、この結果は否定しがたいものとなっています。症状は数十年前から存在していましたが、注意を払おうとする者だけが気づいていたのです。


そして、我々が善の側であり、ロシアや中国、イランなどが悪の側だと考えている人々について申し上げます。これはまさに聖書的な逆転の局面に至ったと言えるでしょう。善を悪と呼び、悪を善と呼ぶ者への災いを警告する聖句があります。彼らがまさにこうした悪しき結果を生み出しているのです。


そして、ヨーロッパやアメリカで権力に近い人々は、かなりの程度で、意図的に真実を見ようとしません。彼らはこの、この自滅の道を歩み続けたいと望み、システムが崩壊するか、民衆革命によって権力から引きずり降ろされるまで、その道を突き進むでしょう。

続き



いやあ、実にニーチェ的分析でもあるな、


猛禽は幾らか憐憫の眼を向けながら、おそらく独り言を言うだろう、《俺たちは奴らを、あの善良な仔羊どもを毛ほども憎んでなんかいない。俺たちは奴らを愛してさえいる、柔らかい仔羊より旨いものはないからな》と。[daß die Raubvogel dazu ein wenig spöttisch blicken werden und vielleicht sich sagen: »wir sind ihnen gar nicht gram, diesen guten Lämmern, wir lieben sie sogar: nichts ist schmackhafter als ein zartes Lamm.« ](ニーチェ『道徳の系譜』第1論文13節、1887)



で、最近、日本の仔羊たちはどうしてんだろ? 半世紀近く前に既に気づいていた高橋悠治と違って、いまだかすかな灰色の雲だけかい? 羊たちの背をなでる生ぬるい風の上に、かすかに灰色の雲がひろがっていく。》(高橋悠治『ロベルト・シューマン』1978年


※なお理論篇については、マイケル・ハドソンの「リベラル少数独裁制と権威主義的民主制とのあいだの選択」を参照。この記事では「金融オリガーキー」と訳しているが、これこそアレックス・クライナーの云う「金融寡頭勢力」である。