いやあ、むかしは実に「正しい」こと言ってんだな、以前「上野千鶴子語録」をいくらか並べたときもそう思ったけど、これはそれらと比べても真に本質的だね。
記念に文字起こししとくよ。
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上野:吉本さんのこだわりを私が正確に理解してるかどうかわからないんですけど、たとえばレストランに勤めるというのは、女の子をウェイトレスとして雇って、いわば女らしさというかセクシュアリティを売り物にしている訳ですよね。 吉本: そうです。 上野:だけどそれをいいだせば、人間というのは人生に論理的決着をつける前に人生を生きちゃってるから、自分の人生の速さのほうが世の中の変化よりももっと速いから、女たちだって取りあえず何か生きないとしょうがない訳でしょう。女の最初の職業は娼婦ですよね。だけれども、娼婦性が職業になるとしたら、女がもう一つ商売にしてきたのは母性なんですね。乳人〔めのと〕なんかもそうだけど。 保母と看護婦というのも母性を職業としている。そのレヴェルでいったら、たとえば女が自分の女らしさを売り物にするしか、この社会のなかで自分の労働というものを認めさせていくことができないとするなら、娼婦性を売るのが悪くて母性を売るのがいい、なんていえないと思うんです。 |
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母性は聖なるもので、娼婦性は賤なるものとなっているけれども。 私の勤め先には保育科があるんですが、私がその学生たちにあんたたちが売っているのは女が売り物にできるたった二つのもののもう一つなんだよっていったら、彼女たちはショックを受けるんですね。娼婦とどこが違うんだって。つまり女はそういう意味で自分のセクシュアリティを、娼婦であるというセクシュアリティか妻・母であるというセクシュアリティかどちらかを売っているわけでしょう。だけどそれを売るなといわれたら、女たちはもう手も足も出ない、何もできないです。 私がいまの業界である一定の役割を果しているとしたら、私だってどっかで女らしさを売ってる訳ですよ。それは時代の過渡期に私がある役割を演じているだけだと思うから、だから女を売り物にしてどこが悪いって思うんです。 |
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(吉本隆明対談集『難しい話題』上野千鶴子、1985年) |
で、男の職業はなんだろ?
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世界は女たちのものだ、いるのは女たちだけ、しかも彼女たちはずっと前からそれを知っていて、それを知らないとも言える、彼女たちにはほんとうにそれを知ることなどできはしない、彼女たちはそれを感じ、それを予感する、こいつはそんな風に組織されるのだ。男たちは? あぶく、偽の指導者たち、偽の僧侶たち、似たり寄ったりの思想家たち、虫けらども …一杯食わされた管理者たち …筋骨たくましいのは見かけ倒しで、エネルギーは代用され、委任される … Le monde appartient aux femmes, il n'y a que des femmes, et depuis toujours elles le savent et elles ne le savent pas, elles ne peuvent pas le savoir vraiment, elles le sentent, elles le pressentent, ça s'organise comme ça. Les hommes? Écume, faux dirigeants, faux prêtres, penseurs approximatifs, insectes... Gestionnaires abusés... Muscles trompeurs, énergie substituée, déléguée...(ソレルス『女たち』1983年) |
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ーー男の職業は女の奴隷かね。 ま、穏やかに言えば、外働き要員だろうよ。 |
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人間は…母子家庭である他のサルたちと違って、父(夫)が家族の一員になった。頻繁に生まれる子の育児のためだという。父(夫)は専属の下働き、外働き要員である。それまでオスは群全体を守る外働きだった。だから軍隊のように上下関係があるわけだ。(中井久夫「親密性と安全性と家計の共有性と」初出2000年『時のしずく』所収) |
