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2026年1月29日木曜日

トランプは世界と戦争状態、かつ米国民とも戦争状態(ジェフリー・サックス)

 

以下、ナポリターノ判事によるジェフリー・サックスのインタビューから。


メインテーマは、「ベッセント財務長官による経済戦争の自白」だが、それは数日前にジェフリー・サックスの別のインタビューで見ているので、ここではその前段のより基本的部分のみを掲げる。


◼️ジェフリー・サックス「経済を武器として使うこと」2026127

Prof. Jeffrey Sachs: Using the Economy as a Weapon, Jan 27, 2026

ジェフリー・サックス:トランプは世界と戦争状態にあり、アメリカ国民とも戦争状態にあり、アメリカ社会を極めて衝撃的で残忍な方法で軍事化しています。そして、その一因となっているのは、政府、もちろん大統領個人も含め、政府があらゆる事柄について常に嘘をついていることです。


国際社会で何が起こっているのか、あるいは私たちの街で何が起こっているのか、真実の言葉は一切ありません。私たちはミネアポリスでの殺人事件の経緯を直接見ることができますし、努力すれば国際社会で実際に何が起こっているのかを知ることもできます。しかし、政府自身が、厚かましくも嘘をつき続けているのです。


つまり、ミネアポリスでの冷酷な殺人事件が、テロリスト、国内テロリストへの報復として描かれているのです。これほどまでに大きな嘘はなく、私たちの知性に対する侮辱です。なぜなら、私たちは自らの目でそれを見ることができるからです。つまり、これは戦争です。真の戦争です。残念ながら、これは情報戦でもあり、もちろん、身の毛もよだつ、憂鬱なものです。しかし、私たちは今何が起きているのか、明確に語り続けなければなりません。


アンドリュー・ナポリターノ判事:カリブ海でスピードボートや漁船上で起きた殺人事件と、ミネアポリスの路上で連邦捜査官が行った殺人事件を線で結ぶことはできますか?


ジェフリー・サックス:もちろん、ホワイトハウスは殺人を命じています。ホワイトハウスは罪のない人々を殺害されるような状況に置き、それを明示しています。ベネズエラの海域にいる漁師なら麻薬密売人、ミネアポリスの路上で平和に立っているアメリカ市民ならテロリストと呼びます。


つまり、これらは直接的な繋がりなのです。スティーブン・ミラー次席補佐官は、法律はなく、あるのは力だけだと説明しました。世界の歴史において、このようなことは以前にも経験済みです。そのような道を歩み、自分がいかなるルールからも外れていると信じ込むのは、悲劇的で破滅的なことです。頭の中にあること以外の道徳はなく、真実へのコミットメントも一切ありません。


これは私たちが教えられてきたことの全てとは正反対です。そして、道徳が重要だと教えられるのは、このように無法な生き方は、万人の万人に対する戦争を引き起こし、無実の人々が大量に死ぬことになるからです。現大統領のスティーブン・ミラー次席補佐官は、アメリカ国民に、残りは単なる些細な事だと説明しました。


ミラーは、アメリカ合衆国による国際的な戦争体制と、連邦政府によるアメリカ国民に対する国内戦争の両方の立役者です。


JEFFREY SACHS: Trump is at war with the world, including at war with American citizens, including militarizing American society in an absolutely shocking and brutal way. And what’s part of this is that the government, including, of course, the President personally, but the government lies at every single moment about everything.


There isn’t a truthful word about what’s happening internationally or what’s happening on our streets. We can watch directly the history of these killings in Minneapolis, or we can know, if we work hard at it, what’s really happening internationally. But the government itself simply lies, brazenly.

So a murder in cold blood in Minneapolis is portrayed as a response to a terrorist, a domestic terrorist. Nothing could be a greater lie and an insult to our intelligence because we can watch on our own. So this is war. It’s real war. Unfortunately, it’s also infowar, and it is, of course, chilling and depressing. But we have to carry on to speak absolutely clearly about what’s happening.


JUDGE ANDREW NAPOLITANO: Can you draw a line from the murders of people on speedboats and fishing boats in the Caribbean to the murders by federal agents in the streets of Minneapolis?


JEFFREY SACHS: Of course the White House is ordering murders. The White House is putting people in situations, innocent people, where they are killed, and then it describes them. If it’s fishermen in the waters of Venezuela, it calls them narcotics traffickers. Or if it’s an American citizen peacefully standing on the streets of Minneapolis, it calls him a terrorist.


So it’s a direct link. It is an approach that the Deputy Chief of Staff, Stephen Miller, has explained that there are no laws, there’s only power. We’ve been there before in world history. It is tragic and devastating to go that way, to believe that you are outside of any rules. No morality other than what is in your head, no commitment to the truth in any way.


It’s the opposite of everything we’re taught. And the reason we’re taught that morals matter is that to live lawlessly like this is to create a war of all against all in which innocents die in large numbers. That is what the Deputy Chief of Staff, Stephen Miller, of this president has explained to the American people, that the rest is just niceties.

Miller is an architect both of the international regime of war by the United States and of the domestic war by our federal government on American citizens right now.


アンドリュー・ナポリターノ判事:両院が何らかの対策を講じることを期待します。裁判所がこれを抑制すべきであり、議会が予算を削減すべきです。さもなければ、議会はこれに加担しているとみなされるでしょう。何が起こっているかは明白です。嘘は恥知らずです。なぜなら、嘘は私たちの目に見える事実によって覆されるからです。


ジェフリー・サックス:議会は自ら死んだと宣言しました。この1年間、憲法が与えている機能を一つも行使していません。関税を課す権限を持つのは議会です。戦争を宣言する権限を持つのも議会です。予算を決定する権限を持つのも議会です。これらはすべて憲法に明確に規定されています。議会はこれらすべてを放棄しました。


議会は監督責任と調査責任を放棄しました。議会が党派的な票を投じることだけをしているとは、想像もできません。これらの人々は、アメリカ合衆国大統領や共和党のために働いているのです。彼らはアメリカ国民のために働くのが本来です。彼らが誰を代表していようと、どの選挙区、どの州を代表していようと、合衆国憲法の最終的な保証人となるのは、合衆国最高裁判所です。私の同級生であるジョン・ロバーツ最高裁判所長官は、今まさに私たちの共和国の未来を握っています。最高裁判所は、この完全な無法と憲法外の行為、そして大統領令による統治を容認するつもりでしょうか。それとも、私たちには憲法があり、憲法とは何か、合衆国大統領の特権とそうでないものは何かを明確にし、憲法を執行するのが最高裁判所の仕事だと主張するのでしょうか。


大統領の行動は危険で気まぐれで、不誠実で完全に憲法の規定から外れており、あちこちで非常事態を宣言し、これに関税を課し、あれにこれを脅し、ここで漁師の殺害を命じ、アメリカの都市の路上でICE 移民関税執行局)に命令し、すべて法律を無視している。


JUDGE ANDREW NAPOLITANO: I hope that the other two branches will do something about this. The court should restrain it, or the Congress should defund it, or the Congress will be deemed complicit in this. It’s rather obvious what’s going on. The lying is shameless because the lying is defied by what we see with our eyes.


JEFFREY SACHS: Congress has just declared itself dead. During the past year, it has not exercised any single function that the Constitution gives it. It is Congress that has the power of tariffs. It is Congress that has the power to declare war. It is Congress that is supposed to determine the budget. These are all clearly spelled out in the Constitution. Congress has abandoned all of this.


Congress has abandoned its oversight responsibilities and its investigative responsibilities. It is something unimaginable that all Congress does is take party line votes. These people work for the President of the United States or for the Republican Party. They work for the American people. That’s true. Whoever they represent, whichever district, whichever state they represent, the Constitution of the United States.


As for the Constitution, the ultimate guarantor of that is supposed to be the U.S. Supreme Court. My classmate, John Roberts, Chief Justice of the Supreme Court, holds the future of our republic in his hands right now. Is the Supreme Court just going to allow this complete lawlessness and extra-constitutionality and rule by executive decree, or is it going to say we have a Constitution and it is the job of the Supreme Court to enforce the Constitution by declaring what is the Constitution and what are the prerogatives and not prerogatives of the President of the United States?


The President is dangerous and whimsical in how he behaves and deceitful and completely outside of constitutional rule, declaring emergency here and emergency there and tariff on this and threatening this on that and ordering murders of fishermen here and ordering ICE onto the streets of American cities, all without regard for the law.




何度か言ってきたが、法なきリアルな世界が赤裸々に露出した2026年だな。日本も着々とこの道を歩みつつあるよ、まだ今のところ(アメリカに比べれば)カワイイものかもしれないが。


この危機の根にあるのは、おそらく「主人はマネー」だろうよ。

このまま右肩上がりを前提にし続ければ、意外に人類の滅亡は早いんじゃないでしょうか。 もはや、滅亡をどう先送りするかという地点にまで来てしまったのではないでしょうか。〔・・・〕

民主主義の極地は、「民意」という名の下に全体主義の形を取り、全体主義の極地は、国家間の境界を越えた超資本主義の形を取ります。

ここで、無主主義という観念を導入した方がいいと思います。今は民主主義が尖鋭化して全体主義になった状況を考えた方が世界を見易いですが、独裁者がいるかと問われれば、 いないでしょう。主人はマネーかもしれないんです。(古井由吉『新潮 452012 1 月号 片山杜秀との対談)


より詳しくは▶︎マネーに支配された民主主義



…………


※附記


先のジェフリー・サックスが言及しているスティーブン・ミラー(Stephen Miller)は、ナチ親衛隊トップのヒムラーみたいなもんだという話が出ているな。




ボクは、ミラーはもっと小物だと思うがね、イスラエルロビーに操られているだけの。▶︎「言うこときかないと殺されますよ」。もし挙げるなら、何よりもまずルビオだよ、彼もぺぺ・エスコバルが言っているように小物には違いないが。





ホルムズ海峡封鎖で石油は700ドルだってよ、ボクは繰り返し言っているが、日本の庶民のみなさんが今何よりもまず備えるべきは、これだよ。飢えないようにな、ってことだ。


もっとも「いつどうなっても構わねえや」という人生設計があったら別だがね。


文士だの芸能人というものは、サラリーマンのように着実でマトモな一生の設計を立てているものではない。収入がサラリーマンのようにキチンキチンとしていないし、明日があまりにも不安定で設計の立てようがないものだ。だから、いつどうなっても構わねえや、というような心構えも芸術家の人生設計に於ては背骨の一ツとなるべきものだ。(坂口安吾「親が捨てられる世相」1952年)



とはいえ仮に自らの背骨はそうであっても妻子がいると厄介なんだよ。晩年の安吾もそうだった筈。





五十ちかい年になってはじめて子ができるというのは戸惑うものである。できるべくしてできたというのと感じがちがって、ありうべからざることが起ったような気持の方が強いものだ。大そうてれくさい。お子さんは近ごろ、なぞと人に云われると、それだけでてれたりしてしまう。(坂口安吾「砂をかむ」死後上梓、1955年)


ーー《あとで泣くなというけれども私は泣くことは覚悟している。人を愛して泣かないで済むことを想像する方が難しい。まして坂口のような人と暮して泣かないで済むだろうとは思わない。彼は好きなように生きる人だ。》(坂口三千代『クラクラ日記』1967年)



と引用すると安吾の親友石川淳の実に美しい文章がある。久しぶりに読み返してみる。


生活に於て家といふ觀念をぶちこわしにかかつた坂口安吾にしても、この地上に四季の風雨をしのぐ屋根の下には、おのづから家に似た仕掛にぶつかる運命をまぬがれなかつた。ただこれが尋常の家のおもむきではない。風神雷神はもとより當人の身にあつて、のべつに家鳴振動、深夜にも柱がうなつてゐたやうである。ひとは安吾の呻吟を御方便に病患のしわざと見立てるのだらうか。この見立はこせこせして含蓄がない。くすりがときに安吾を犯したことは事實としても、犯されたのは當人の部分にすぎない。その危險な部分をふぐの肝のやうにぶらさげて、安吾といふ人閒は强烈に盛大に生き拔いて憚らなかつたやつである。


家の中の生活では、さいはひに、安吾は三千代さんといふ好伴侶に逢着する因緣をもつた。生活の機械をうごかすために、亭主の大きい齒車にとつて、この瘦せつぽちのおくさんは小さい齒車に相當したやうに見える。亭主と呼吸を一つにして噛み合つてゐたものとすれば、おこりえたすべての事件について、女房もまた相棒であつたにひとしい。亭主が椅子を投げつけても、この女房にはぶつかりつこない。そのとき早く、女房は亭主から逃げ出したのではなくて、亭主の内部にかくれてゐたのだろう。安吾がそこにゐれば、をりをりはその屬性である嵐が吹きすさぶにきまつてゐる。しかし、その嵐の被害者といふものはなかつた。すなはち、家の中に悲劇はおこりえなかつた。それどころか、たちまち屋根は飛んで天空ひろびろ、安吾がいかにあばれても、ホームドラマにはなつて見せないといふあつぱれな實績を示してゐる。たくまずして演出かくのごときに至つたについては、相棒さんもまたあづかつて力ありといはなくてはならない。


安吾とともにくらすこと約十年のあとで、さらに安吾沒後の約十年といふ時閒の元手をたつぷりかけて、三千代さんは今やうやくこの本を書きあげたことに於て安吾との生活を綿密丁寧に再經驗して來てゐる。その生活の意味がいかなるものか、今こそ三千代さんは身にしみて會得したにちがひない。會得したものはなほ今後に持續されるだらう。この本の中には、亡き亭主の證人としての女房がゐるだけではない。安吾の生活と近似的な價値をもつて、當人の三千代さんの生活が未來にむかつてそこに賭けてある。この二重の記錄が今日なまなましい氣合を發してゐ所以である。(石川淳「坂口三千代著「クラクラ日記」序」)