ボクどうしてこんなにヘンなんだろ
中学生に入ってからはとくにそう思ったけど
ボクは当時トッテモカワイカッタので、大学教師の娘だった教養ある十兵衛に「憎さ余って可愛さ百倍」って言われちゃったよ。で、彼女を含めた「3人娘」と言われた大柄の太もも美少女たちと毎日さ。彼女たちもボクがヤスンダラ、物足りなかったんじゃないだろうか・・・気をつかったよ、ひとりだけに集中しちゃダメだと。
それでっとーー、
それでっとーー、
もう言いたくないね、この先は
とってもいいなあ、モジリアーニ
ヘ短調のフーガみたいだな、この女。BWV857
絵をみて匂いがしてくるのはモジリアーニだけだよ
因果ですね、と抱かれた後で女がつぶやいたのもあの晩のことになる。それまでに幾夜かさねてもほぐれず、その晩もかわらず硬かった女のからだが、遠くから風の渡ってくる音にすくんだのを境に、ひと息ごとにほどけて、男の動きにこたえてどこまでも受けいれるようになり、人の耳をおそれて音をひそめあうような、長いまじわりとなり、ようやくはてて、なごりの息のおさまっていく下から女が何を言い出すことかと、男がこんな始末になったことにあきれて待つうちに、その言葉が女の口から出た。
前世で寝たことがあるんですよ、今夜初めて知りました、とその面相のまま言った。(古井由吉『蜩の声』除夜)
|