@taiyonoibikiさんによるスコット・リッター2022/06/18の第四・第五弾。 第一弾は「ウクライナとNATOは消えてなくなるだろう」 第二弾は「NATOはこの8年、ロシア人を殺させるために宇国のネオナチを訓練した」 |
第三弾は「私はプーチンの目をじっと見つめた。私はそこに彼の魂を見た。私は彼と共に仕事がしたいと思った」 |
Ukraine War Update and Analysis w/Scott Ritter. 2022/06/18 |
The Sun Snores Press @taiyonoibiki 2022/07/08 ロシア介入4ヶ月後のウクライナ再評価/スコット ロシア介入4ヶ月後のウクライナ再評価/スコット・リッター シリーズ⑷外交という名の芸術 シリーズ⑸これからの円卓会議 |
スコット・リッターが下した最新の「ロシア特別軍事作戦ウクライナ4ヶ月評価」をダニー・ハイフォン(The Left Lens)インタビューから今回は⑷⑸と連続でお送りします。 Ukraine War Update and Analysis w/Scott Ritterから (長大なのでスコットの解答部分のみ全訳) |
シリーズ⑷外交という名の芸術 ①つい先日、マイケル・マックフォールがパネル・ディスカッションをしました。パネラーの一人にドイツ名でジョン・ミアシャイマーという人がいました。 ②ミアシャイマーはリアリティ国際政治関係論の大家で、尊敬すべき第一人者です。そのミアシャイマーが有名な私たちの元アメリカ合衆国ロシア大使マイケル・マックフォールに質問しました。 ③アメリカがウクライナに対して今まで何を言ってきたかについての質問でしたが、かいつまんで言うと、アメリカはウクライナに嘘をついてきたかどうかという質問でした。 |
④その質問に対し、私たちの有名な元ロシア大使はいとも誇らしげに「イエース!もちろん、嘘をついてきましたとも!嘘をついてずっと騙してきました。これはリアル・ワールドです。現実の国際政治です。ですから、私が嘘をつくのは当然です」と得意になって言いました。 ⑤おい、大馬鹿者のマイケル・マックフォールよ!すっかりバカをさらけ出してくれたな!信用されている外交官は決して嘘をつかないのだよ!それ故にこそ彼らは外交官と呼ばれるし、また、それゆえにこそ彼らは大使の仕事を全うできるのだよ。外交官は都合の悪い真実を上手にぼかす達人です。 ⑥彼らはその技術を習得し日々それに磨きをかけますが、しかし、決して嘘はつきません。なぜなら、外交官が嘘を言ったら最後、彼らは永久に信用を失うことになるからです。マイケル・マックフォールはアメリカの信用を台無しにしてしまったのです。 |
⑦彼はアメリカ人を代表しアメリカの顔として国際社会で振る舞っているのに、嘘を言って、アメリカの信用に落としてくれた、アメリカ人の顔に泥を塗ってくれた。しかも、もっと悪いことには、私はマイケルは自分がやったことがいかに間違っているか全く気づいていません。 ⑧アメリカが日々、世界に向かって嘘をつき、少しも悪びれないどころかそれを自慢さえしているとしたら、そんな私たちをどうして国際社会が信頼してくれるのでしょうか?そんな嘘つきを相手に誰が真面目な条約を結びたいと思うでしょうか? ⑨しかし、マイケル・マックフォールは「これは現実の世界、リアル・ワールドです。だから私は嘘をつく」と真顔で言ったのです。CIAなら、それが彼らの仕事だから嘘をつくでしょう。しかし、外交官は嘘をつきません。 |
⑩外交官はポーカー・フェイスで言葉を注意深く紡ぎ出しながら、嘘をつくことなしにこちらに不利な事実を上手にぼかし、有利な事実のみを強調する。外交の芸術とはそれです。現在、ウィリアム・バーンズがCIA長官を務めています。 ⑪私はCIAを弁護することを普段あまりしないのですが、ウィリアム・バーンズは非常に優れた外交官です。彼はいわゆるバック・チャンネル外交(勝手口の本音外交)の方法を確立してその名声を築いたのでした。たとえばあなたと私の間で外交上の意見の相違があったとします。 ⑫あなたも私も外交官ですから嘘は言えません。しかし、自分にとって不利な事実を強調することもできません。そこでああだこうだと具体的進展のない状態で優雅にダンスをしながらしばらくお互いの様子を伺うのです。しかし、いつまでもそうしているわけにはいかない。ブレークスルーが必要です。 |
⑬しかしそれを公の場でするわけにはいきません。お互いの国民が見ているし、お互いのメンツがあります。自分のメンツを潰されたら外交官として失格であると同時に相手の面子を潰しても外交官として失格なのです。 ⑭そこでウィリアム・バーンズがやったことは、どこかヨーロッパの大都会の場末のカフェの片隅で人知れず事情に精通した相手方の副官クラスと会う。二人がそこで合っていることは誰も知りません。 ⑮そこでオフレコで本音を出し合う。求めているものは何で、障害となっているものは何か、お互いの国を代表した外交官が人間としてそれぞれの立場を十分理解しながら、双方にとって最良の解決の道を探すのです。オフレコなので、お互いにメンツを失う心配もありません。 |
⑯このバック・チャンネル外交について彼は本を書いています。そのウィリアム・バーンズがなぜCIA長官に選ばれたのでしょうか?彼は決してスパイの専門家ではありません。外交の専門家です。私はバーンズが選ばれたことに一縷の望みを抱いています。 ⑰アンソニー・ブリンケンとセルゲイ・ラブロフはもう話し合いができません。公の場で大喧嘩し、お互いのメンツすっかり潰し合ってしまいましたから。ロイド・オースティンとショイグーも同じ理由でダメです。 ⑱ところがウィリアム・バーンズはちっとも表に出てきませんね。彼は一体何をやっているのでしょうか?誰も知らない場末のカフェの片隅でコーヒーを啜りながらロシアのインテリジェンスと会っている。そこではお互いが自分の国を背負っています。そして、そのことをお互いに知っています。 |
⑲自分の国の不利になることはもちろん受け入れることはできないが、それは相手も同じだということを知っているのです。そこでお互いに腹を割って、どちらの側も損をせず利益が得られるように解決策を考えることができます。これが外交です。 ⑳私はウィリアム・バーンズが本当に今それをやっているかどうかわかりません。しかしもし私がラスベガスにいたら、彼がやっている方に大金をかけるでしょう。 ㉑なぜなら、それがウィリアム・バーンズが CIA長官に選ばれた理由だと思うし、それが彼の強みだし、彼は今、バックチャンネルでロシアのインテリジェンスと必死で解決策を探っていると信じるからです。しかし、ここにまた一つ大きな障害があります。アメリカ合衆国議会です。 |
㉒アメリカ合衆国の国会議員はアメリカ国民のことなど眼中にありません。ただ自分が当選することだけが重要です。アメリカ合衆国がメディアを通じもう何十年もロシアを悪者化してきたおかげで、アメリカ国民もロシアと言えばみんな悪だと思い込まされています。 ㉓そこで議員はロシアを攻撃する過激な啖呵の一つも切ればそれだけで骨のある愛国者だと思われて票をゲットできます。ですから機会あるごとに彼らはロシアに批判的声明を出してきました。 ㉔反対にロシアと協調的であると思われたら最後、ロシアン・ボットと見做され(メディアでもそのように叩かれ)、次期の議席はおぼつきません。ロシアではありませんが、シリアを訪問したツルシー・ギャバードがアッサード・アポロジストと見なされて議席を失いました。 |
㉕ですから、仮にバーンズが最も良い合理的な妥協策を見出したとしても、表立ってそれに賛成できる議員がいないのです。今までずっとロシアを批判してきたのにここで突然ロシアは友だちだとは言えないのです。それが問題です。 ㉖アメリカには本当に理に適った意見や説明を受け入れない奇妙な傾向が存在します。ある将軍に呼ばれて彼の前で自分のしたことについて説明したことがありました。私は自分のしたことは正しいと思っていたし、ですからその理由について説明しました。 ㉗将軍は「スコット、お前は説明した。出て失せろ」と言いました。アメリカでは正しいことを説明したらダメなのです。議会は決してそれをしないと思います。 (了) |
シリーズ⑸これからの円卓会議 ①ロシアはロシアの利益のために働き、中国は中国の利益のために働いていると思います。決して世界のために自分を犠牲にしているわけではないと思います。しかし、アメリカと比べて彼らには大きな違いがあります。キング・アーサーの円卓会議の喩えがあります。 ②なぜ円卓かというと、会議に参加するすべての騎士たちが同等であるためです。ところがよく見るとその部屋には二つの入り口があるのです。一つは騎士たち全員が入場する入り口。もう一つはキング・アーサーだけが入場できる入り口です。 ③エクスカリバーを持ったキングが入ってきて座った椅子はよく見ると、他の席よりも大きく高く作ってあります。そしてキングが話し始めると、それを全員が謹んで拝聴する。全員が同等のように見えたのは見せかけで実はそうではなかった。これが第二次世界大戦後の国際社会のあり方だったのです。 |
④キングは言うまでもなくアメリカ合衆国のことです。会議はキングの利益を図ることを目的として進められます。キングは誰ともトレードしたくありません。ただ取るだけです。他はキングの利益のおこぼれをありがたく頂戴する。ゼロサム・ゲームです。 ⑤全員を幸せにする円卓会議ではなくひたすらアメリカを幸せにする会議でした。 ⑥セントペテルブルクの演説でプーチンは「その時代はもう終わった」と言ったのです。これからは部屋に入る入り口は一つとする。そして全員がそこから入場する。キングの座っていた椅子もみんなと同じものにする。これからはアメリカはみんなと同じ入り口から入って、みんなと同じ椅子に座るのです。 |
⑦そしてみんなと同等に会議に出席する。それはつまりギヴ・アンド・テイクの関係です。キングが全てを取る関係ではなく、全員が協力し合う互恵的な関係です。アメリカが世界を支配するヘゲモニーの時代は終わりました。これからは国連憲章に基づく国際法に従ってみんなが助け合いながら生きるのです。 ⑧それはアメリカ合衆国が抜け者になるという意味ではありません。もちろんアメリカも円卓に座ることができます。アメリカは依然として世界の超大国です。いろいろなことで世界に貢献できます。しかし、もう一方的に支配することはできません。みんなと協調しながらやるのです。 ⑨その時、非常に重要になってくるのが強く安定したロシアの存在です。両国は世界が抱えるたくさんの問題を共に解決していくための良きパートナーとなることでしょう。ロシアは世界最大の食糧供給国の一つであり、世界最大のエネルギー供給国の一つです。 |
⑩アメリカの経済学者たちは全く本を開いたことがないのでしょうか?世界最大の肥料供給国、世界最大の食糧供給国、世界最大のエネルギー供給国を締め出して自分の首を絞めているのですから。 ⑪ロシアを理解していないアメリカの無知の甚だしさは、中国を理解していないアメリカの無知の甚だしさと共通しています。アメリカが一番必要なことはたくさんいる仲間の中の一人になることはどういうことなのかということを学ぶことです。 ⑫仲間のことに無知で、仲間の一人になることはできません。 (了) |