少し前にも示したが、国民負担率の問いは、日本は世界一の少子高齢化社会なのに、なぜこんなに低いままなんだろう、ということだ。
次のはもう5年前の財務省の資料だがね、初めて、日本が「低福祉高負担」への道を歩んでいることを提示してあり「感心」したよ。それまでは中福祉高負担だったんだが。
低福祉高負担は社会保障改革がない限り引き返せない道だろうよ、実に論理的な説明であり、このとき初めて財務省を「尊敬」したね。
◼️令和2年度予算の編成等に関する建議 令和元年 11 月 25 日 財政制度等審議会 PDF |
<社会保障をめぐる状況と将来の見通し> 社会保障関係費は、これまで一貫して増加を続け、令和元年度(2019年度)予算においては、一般歳出の6割を占めるに至っている。平成の30 年間、他の政策経費と比較しても、社会保障関係費の増加幅(3倍)は際立っており、これと軌を一にして公債発行が大幅に増加してきた。 |
〔資料Ⅱ-1-1参照〕 |
この要因として、第一に、医療、年金、介護といった社会保障給付自体が、高齢化といった人口要因で説明できる範囲を大きく超えるペースで増加してきたことが挙げられる。 加えて、我が国の社会保障制度は、社会保険方式を採りながら、高齢者医療・介護給付費の5割を公費で賄うなど、公費負担に相当程度依存しているが、特に近年、公費負担の比重の大きい高齢者医療・介護給付費の増に伴い、社会保障給付費に占める公費の割合は上昇している。 |
〔資料Ⅱ-1-2参照〕 |
公費の増加に有効な対応策が講じられず、それに見合う負担も求められてこなかった結果、社会保障制度における給付と負担のバランスは、既に大きく崩れている。特に 1990 年代以降、社会保障の給付の増加のペースが負担(社会保険料+税)の増加のペースを上回り、経済協力開発機構(OECD)諸国と比較しても、「中福祉、低負担」と言わざるを得ない特異な状況となっている。 |
〔資料Ⅱ-1-3参照〕 |
更に、将来を見据えると、このまま社会保障制度の改革を行わない場合、給付と負担のアンバランスは、更に拡大すると見込まれる。これを放置すれば、現在の日本が「中福祉、低負担」を享受する見返りに、将来世代がツケを払う形で「中福祉、高負担」、更には「低福祉、高負担」への転換を余儀なくされることとなりかねない。我が国の財政と社会保障は、これまで未解決の宿題を背負ったまま、以下のように更なる課題に直面しているといえる。 |
第一に、今後の人口構造の変化に目を向ければ、2022 年には団塊の世代が後期高齢者になり始めるため、医療・介護を中心に、これまでのペースを上回る形での公費の増加がほぼ確実に見込まれ、その後も、後期高齢者数は高止まりを続ける。また、年金給付の面で影響が大きい65歳以上の人口については、中期的に増加を続け、2040年頃にかけてピークを迎える。 |
〔資料Ⅱ-1-4参照〕 |
第二に、前述のように、そもそも医療・介護給付費は高齢化による伸びを大きく超える形で増加してきた。この点はこれまで長年にわたり政策課題とされてきたが、これを抑制する実効的な方策は未だ講じられておらず、こうした増加の定量的要因すら明らかになっていない。今後もこうしたトレンドが変わるとは考えにくく、昨今における高額な新薬の相次ぐ登場や、介護利用の広がりを考慮しても、現行制度のままでは、人口動態を大きく超える形での給付増が生じると考えることが自然である。 第三に、こうした給付の負担を賄う主な「支え手」を仮に 20 歳から75 歳未満と想定したとしても、その人口は、既に足元で大規模な減少が始まっており、特に 2040 年以降は、毎年1つの大都市の人口に匹敵する約 100 万人のペースで急速に減少していく。我が国の労働参加率は女性や高齢者を含めて相当高まってきているが、仮に更なる大幅な労働参加率の上昇を想定したとしても、労働力人口の大幅な減少は避けられない。中期的に経済成長の足かせとなる可能性があり、「支え手」一人ひとりの負担はその分だけ重くなりかねない。 |
〔資料Ⅱ-1-5参照〕 |
こうした将来見通しは、今般の議論において紹介のあった各種推計においても明確に確認されているところである。 |
なおこの資料の国民負担率の数値は、分母は国民所得ではなく国民総生産(GNP)であり、本来GNPで示したほうが無駄な錯覚を招きにくい。
池田信夫氏が最近しつこく繰り返し指摘しているがね。
ま、なにはともあれ、巷のデマゴーグに騙されず、最低限、上の財務省の説明をしっかり把握して、仮に反論できるものなら「知力を振り絞って」そうしてみることだよ。特に国民負担率や消費税については、「本当に近い嘘」をベラベラまくしたてる連中が跳梁跋扈しているからな、最低限の知力が是非とも必要だよ。
人がデマゴギーと呼ぶところのものは、決してありもしない嘘出鱈目ではなく、物語への忠実さからくる本当らしさへの執着にほかならぬ〔・・・〕。人は、事実を歪曲して伝えることで他人を煽動しはしない。ほとんど本当に近い嘘を配置することで、人は多くの読者を獲得する。というのも、人が信じるものは語られた事実ではなく、本当らしい語り方にほかならぬからである。デマゴギーとは、物語への恐れを共有しあう話者と聴き手の間に成立する臆病で防禦的なコミュニケーションなのだ。ブルジョワジーと呼ばれる階級がその秩序の維持のためにもっとも必要としているのは、この種のコミュニケーションが不断に成立していることである。(蓮實重彦『凡庸な芸術家の肖像』) |
ある証人の言葉が真実として受け入れられるには、 二つの条件が充たされていなけらばならない。 語られている事実が信じられるか否かというより以前に、まず、 その証人のあり方そのものが容認されていることが前提となる。 それに加えて、 語られている事実が、 すでにあたりに行き交っている物語の群と程よく調和しうるものかどうかが問題となろう。 いずれにせよ、 人びとによって信じられることになるのは、 言葉の意味している事実そのものではなく、 その説話論的な形態なのである。 あらかじめ存在している物語のコンテクストにどのようにおさまるかという点への配慮が、 物語の話者の留意すべきことがらなのだ。(蓮實重彦『凡庸な芸術家の肖像』) |
ま、折に触れてこういうことを記してはいるが、実はムダな試みであるのを知らないわけじゃないがね。ーー《浅薄な誤解というものは、ひっくり返して言えば浅薄な人間にも出来る理解に他ならないのだから、伝染力も強く、安定性のある誤解で、釈明は先ず覚束ないものと知らねばならぬ。》(小林秀雄「林房雄」)
消費税だって上げれば、例えばインバウンドの外国人旅行者にも払ってもらえるのだから、将来低福祉高負担にならないためには優れた施策の筈だが、目先のことが何よりも肝要な庶民を説得するのはきわめて困難というのもわからないではない。
で、国民の説得はもう諦めてハイパーインフレしかないという経済学者もいるよ。
例えば沈着冷静な一橋大学名誉教授《齊藤誠[2023]は、ハイパーインフレ(激性インフレ)により敗戦国と同じ方法で国債費の重圧を大幅に軽減しようという処方箋を提案している 》そうだ[参照]。
![]() |
(日本の財政関係資料 令和6年10月) |
アベノミクスの敗戦処理をしっかり受け入れるべきかもな、
日本をひどく愛し憂えた世界三大投資家ひとりジム・ロジャーズ曰く、
➤YouTube
◾️ジム・ロジャーズインタビュー「アベノミクスの行方」ロイター通信 我謝京子氏 2014年2月25日 |
安倍氏は大惨事を起こした人物として歴史に名を残すことになるでしょう。 これから20年後を振り返った時に、彼が日本を崩壊させた人物だと皆が気づくことになるでしょう。 アベノミクスには三本の矢がありますが、3本目の矢は日本の背中に向かってくるでしょう。日本を崩壊させることになるでしょう。紙幣を刷る事と通貨価値を下げる事で経済を回復させることは絶対できない。長期的にも、中期的でさえ無理です。 |
そうだな、「仮に」消費税廃止組が匆々のハイパーインフレ狙いをしているのなら、その深謀遠慮に「敬意を払う」がね、
インフレは、国債という国の株式を無価値にすることで、これまでの財政赤字を一挙に清算する、究極の財政再建策でもある。 予期しないインフレは、実体経済へのマイナスの影響が小さい、効率的資本課税とされる。ハイパーインフレにもそれが当てはまるかどうかはともかく、大した金融資産を持たない大多数の庶民にとっては、大増税を通じた財政再建よりも望ましい可能性がある。(本当に国は「借金」があるのか、福井義高 2019年) |
ここでまたイヤミなノリピー掲げとくから、繰り返せば、巷間のデマゴーグに騙されず、自ら熟慮の上で反論してみることだな。
理系の平石明氏が実に懇切丁寧に巷のデマゴーグたちの愚かしさを指摘している記事を見たがね、こういった連中よりは池田信夫のほうがはるかにマシ、ーーと言っても財務省絶対悪カルトのキミたちにはまったく通用しないんだろうがね。 |
◼️「財務省解体論:陰謀論にハマる人たち」2025-03-16 |
ザイム真理教とは、今年 1 月下旬に亡くなった経済評論家、森永卓郎氏が言い出した言葉です。森永氏は晩年、財務省が増税で国民を苦しめ、経済成長を抑制し、日本の失われた 30 年を招いたと唱えました。それを是正するには減税が必要だという主張に対して、減税拒否という「宗教」を奉じるカルト集団(=財務省)がいて、それがザイム真理教だというのです。 似たような主張は評論家の三橋貴明氏にもみられます。いま日本には、国の財政赤字が 1000 兆円を超え、このままでは財政が破綻するという財政破綻論があり、後世にツケを残さないための消費増税は不可欠という増税・緊縮財政論があります。その財政論の黒幕は財務省であって、それらは全くのデタラメだというのが、三橋氏の主張です。 元財務官である高橋洋一氏も財務省悪玉論の一人です。財務省は「スキあらば増税したい!」人たちの集まりで、本心からは財政再建のことなど考えておらず、自分たちの歳出権という権益を広げるために暗躍し、増税を主張する、と彼は説いています。 いずれも、今の庶民の生活苦の根源は、緊縮財政と増税を唱える財務省であるという論法になっていますが、果たしてこれらは真実なのでしょうか。結論から言えば、財務省のせいにするのはお門違いです(後述)。 |
森永卓郎、三橋貴明、高橋洋一がデタラメなのは、キミたちにとってもよほど馬鹿でない限りすぐ判然とするだろうが、厄介なのはもうすこしデタラメ度の低い、一見もっともらしいことを言っているデマゴーグ政治家たちだな。
いずれにせよもはやインフレが止め難くなっている事態はキミたちにとっても周知だろ?
先の平石明氏の記事からーー、
消費税廃止したらインフレが加速するぐらいは知ってるだろ?
これは、よほどの財務省絶対悪カルトでなければ、ごく常識的な話だがね、チガウカイ?
繰り返せば、ワカッテルヨ、キミたちにとってチガウのは。特別会計なる玉手箱派なんだろ?
キミたちのホンネは日本には竜宮城に玉手箱が隠されてるってことなんじゃないのない?
あるいは純粋に支離滅裂系かい?
キミたちにとっての「財務省の犬」小黒一正氏がこの3年前の同時期、懇切丁寧に説明してくれてるがね▶︎ 「インフレ対策の「減税」が「悪手」である理由」
ま、少なくともデマゴーグ政治家やら政治評論家やらの言葉を鵜呑みにせず、この中学生向けの説明読んでみることだね、
ノリピーがこう言ってるがね、《無学文盲の大衆は「減税」という言葉しかわからないから、インフレでも金利上昇でも財政赤字が増えても減税する。「デフレ脱却」の一つ覚えだった安倍政権よりひどい愚民主義だ。バカな大衆に迎合しているうちに、政治家もバカになる。》
で、自らがこの手の無学文盲なのか否か、問い直してみることだよ。再再度言えば、こう勧めてもどうせムダなのは知らないわけじゃないよ。
米山隆一氏が特別会計についてウマいこと言ってるがね。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と。
このたぐいの玉手箱は開ければ煙なんだよ。いや煙どころか社会保障の膨大な隠れ借金ーー暗黙の債務ーーがあるからブラックホールだよ。
ところで、最近はれいわが一番まともらしいね、徹底的なインフレ税導入に向けて邁進中らしいよ
僕も10年前はなかばジョークでこういったことを言ったことがあるが、もはやジョークでなくなったらしい。