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2025年6月23日月曜日

帝国の自殺

 

クリス・ヘッジズ@ChrisLynnHedges 2025/06/23

戦争は悪のパンドラの箱を開ける。一度解き放たれた悪は、誰にも制御できない。〔・・・〕イランとの戦争は自滅的で、多大な犠牲を伴う泥沼となり、帝国の朽ちかけた建造物に打ち込まれる釘の一本となるだろう。

War opens a Pandora’s box of evils that once unleashed are beyond anyone’s control.(…) A war with Iran will be a self-defeating and costly quagmire, one more nail in the rotting edifice of the empire.


止まらないんだよ、もう。


で、今のトランプはーー仮にパニックに陥っているのでなかったらーー完全にこれじゃないかね。



戦争中の指導層に愕然とするほど願望思考が行き渡っているのを実に多く発見する。しかも、彼らは願望思考に固執する。これは一般原則といってよい。これに比べれば、自己と家族の生命の無事を願う民衆や兵士の願望思考は可愛らしいものである。ほとんどすべての指導層が戦争は一カ月か、たかだか三カ月のうちに自国の勝利によって終わると考える傾向がある、第一次大戦においてはそれは特に顕著であった。すべての列強の指導層が積極的には戦争を望まないまま、「ヨーロッパの自殺」といわれる大焚火の中に自国を投入していった。列強のすべての指導層は、恫喝によって相手が屈すると思った。そのための動員令であり、臨戦体制であり、最後通牒であった。しかし、相手も同じことを思っていた。〔・・・〕願望思考の破綻が明々白々となった後、容易に堕落して「終結の仕方が見えないという形での堕落した戦争」となる。

(中井久夫『戦争と平和 ある観察』第6章)



※参照

1、トランプが陥っているのは「極めて伝統的なジレンマ」(リチャード・ウルフ)

2、愚か者のルール(クリス・ヘッジズ)