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2023年4月25日火曜日

「耳栓」を外すことの困難性

 

MANPYOさん、また核心的なことを言ってるね


DULLES N. MANPYO @iDulles  Apr 25 2023

[旧い秩序の崩壊の後に来るのは、新しい秩序なのではない]

✓「慣れ親しんだパターンを断念するのは容易なことではない。必竟、世界で起きている根本的な変貌に目隠しをし、耳栓する人が大勢いるのは当然だ。そして否定できない事実は先へ先へと進んでいく。今東方へ歴史と時代は移る、否、西方は断然としてある……と言う人びともいる。それらの人びとにちょっと待って欲しいと私は申し上げたい。その前にあるものを飛び越してはいませんか?、と。その前にあるのは奈落の底である。旧い秩序の崩壊の後に来るのは、新しい秩序なのではない。混沌と奈落が待っている。そしてこの混沌から奈落の底へ進む、変貌の大暴風に耐えられるのは、自分の力が確かめられ、それに頼ることができる人たちのみだ。それらの人のみが、新しい秩序の前に、襤褸の姿であれ、なんであれ立っているということだ。私は以上のことは諸賢覚悟の上で、省略せずに、この電報、覚書を目にしておられるだろうとの前提で打電してきているが、万が一と意い、ここに記す」-0-




この今、耳栓を外すのはひどく難しい。もちろん私も充分に外せているわけではまったくない。


反時代的な様式で行動すること、すなわち時代に逆らって行動することによって、時代に働きかけること、それこそが来たるべきある時代を尊重することであると期待しつつ。in ihr unzeitgemäß – das heißt gegen die Zeit und dadurch auf die Zeit und hoffentlich zugunsten einer kommenden Zeit – zu wirken.〔・・・〕


世論と共に考えるような人は、自分で目隠しをし、自分で耳に栓をしているのである。Denn alles, was mit der öffentlichen Meinung meint, hat sich die Augen verbunden und die Ohren verstopft (ニーチェ『反時代的考察 Unzeitgemässe Betrachtungen』1876年)


➡︎「別の仕方で」観察することーー恋人の表情に、嘘のシーニュを読み取る、嫉妬する者として



座標軸が急激に変化しているとき、事実上頼るものは何もない。


人はほとんど例外なく、「必ず訪れる」カタストロフィーを意識の外へと追いやってしまう。奈落の底の訪れに対して「反時代的的に=別の仕方で」思考するのはきわめて難しい。


数多くのカタストロフィーが示している特性とは、次のようなものです。すなわち、私たちはカタストロフィーの勃発が避けられないと分かっているのですが、それが起こる日付や時刻は分からないのです。私たちに残されている時間はまったくの未知数です。このことの典型的な事例はもちろん、私たちのうちの誰にとっても、自分自身の死です。けれども、人類の未来を左右する甚大なカタストロフィーもまた、それと同じ時間的構造を備えているのです。私たちには、そうした甚大なカタストロフィーが起ころうとしていることが分かっていますが、それがいつなのかは分かりません。おそらくはそのために、私たちはそうしたカタストロフィーを意識の外へと追いやってしまうのです。もし自分の死ぬ日付を知っているなら、私はごく単純に、生きていけなくなってしまうでしょう。

これらのケースで時間が取っている逆説的な形態は、次のように描き出すことができます。すなわち、カタストロフィーの勃発は驚くべき事態ですが、それが驚くべき事態である、という事実そのものは驚くべき事態ではありませんし、そうではないはずなのです。自分が否応なく終わりに向けて進んでいっていることをひとは知っていますが、終わりというものが来ていない以上、終わりはまだ近くない、という希望を持つことはいつでも可能です。終わりが私たちを出し抜けに捕らえるその瞬間までは。


私がこれから取りかかる興味深い事例は、ひとが前へと進んでいけばいくほど、終わりが来るまでに残されている時間が増えていく、と考えることを正当化する客観的な理由がますます手に入っていくような事例です。まるで、ひとが終わりに向かって近づいていく以上のスピードで、終わりのほうが遠ざかっていくかのようです。

自分ではそれと知らずに、終わりに最も近づいている瞬間にこそ、終わりから最も遠く離れていると信じ込んでしまう、完全に客観的な理由をひとは手にしているのです。驚きは全面的なものとなりますが、私が今言ったことはみな、誰もがあらかじめ知っていることなのですから、驚いたということに驚くことはないはずです。時間はこの場合、正反対の二つの方向へと向かっています。一方で、前に進めば進むほど終わりに近づいていくことは分かっています。しかし、終わりが私たちにとって未知のものである以上、その終わりを不動のものとして捉えることは本当に可能でしょうか? 私が考える事例では、ひとが前へと進んでも一向に終わりが見えてこないとき、良い星が私たちのために終わりを遠く離れたところに選んでくれたのだ、と考える客観的な理由がますます手に入るのです。……(ジャン=ピエール・デュピュイ「極端な出来事を前にしての合理的選択」PDF)



………………



これは日本に限ったことだが、藤巻健史氏が渾身の記述をアップしているね、➡︎「東大の経済学者でも「日本円の紙くず化」は避けられない…日銀の植田総裁が"異次元緩和"をやめられない理由 「YCCの解除」で日本はぐしゃぐしゃになる」(2023/04/25 )。


日本のみなさんはしっかりと受けとめるべき主張だ、最後のページの《私は以前より、「日銀に代わる新しい中央銀行の創設準備をしなければならない」と主張してきた。それは現在流通する円が無価値になることを意味するため、ドルMMFなどのドル資産を持って自己防衛を図る必要がある》以外は。私の観点ではこの彼でさえも「基軸通貨ドル崩壊」の足音に耳栓をしている。



だがこの見解には十全に耳をすまさねばならない。すなわち藤巻曰く、

私は植田新総裁がYCCを解除することは到底無理だと思っている。市場の反応の様相を間違えて安直にYCCを解除すれば、その時点で日銀はThe End。円は紙くず化して、日本経済はぐしゃぐしゃだ。

YCCが解除できないということは、日銀は、どんなに激しいインフレが日本で起きようともお金をバラマキ続けなければならないということで、インフレはますます加速していってしまう。そんな惨めな国は世界では日本以外にない。(藤巻健史、2023/4/25)


➡︎ハイパーインフレ文献



MMT派、すなわちアベノミクス派でさえ、インフレを心配しだしているこの今である。





そもそもMMT理論の支柱ランダル・レイは、はじめから次のような「馬鹿げたこと」を言っているのである。

経済学者にとって、年率40パーセント未満のインフレ率から経済への重大な悪影響を見出すことは困難である。economists are hard pressed to find significant negative economic effects from inflation at rates under 40 percent per year. (ランダル・レイRandall Wray「現代貨幣理論 Modern Money Theory」2012年ーー下翼のためのMMT(現代貨幣理論)」)




なお安倍晋三は総理を下りてからも次のように言っているトンデモMMT派だった。


「子どもたちの世代にツケを回すなという批判がずっと安倍政権にあったが、その批判は正しくないんです。なぜかというとコロナ対策においては政府・日本銀行連合軍でやっていますが、政府が発行する国債は日銀がほぼ全部買い取ってくれています」


「みなさん、どうやって日銀は政府が出す巨大な国債を買うと思います? どこかのお金を借りてくると思ってますか。それは違います。紙とインクでお札を刷るんです。20円で1万円札が出来るんです」(安倍晋三新潟県三条市での講演ーー2021年7月10日)