知識も経験もないことを語るのに「自分の意見」は要りません、か。
日本経済の主な問題はデフレではなく、人口動態である[The main problem in the Japanese economy is not deflation, it's demographics] (白川方明 Masaaki Shirakawa, at the Tuck School of Business at Dartmouth College, 2014.05.13) |
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生産年齢人口は1995年がピークだ。
アメリカの潜在成長率は 2.5%弱であると言われているが、アメリカは移民が入っていることと出生率が高いことがあり、生産年齢人口は年率1%伸びている。日本では、今後、年率1%弱で生産年齢人口が減っていくので、女性や高齢者の雇用を促進するとしても、潜在成長率は実質1 %程度に引き上げるのがやっとであろう。 丸めた数字で説明すれば,、アメリカの人口成長率が+1%、日本は-1%、生産性の伸びを日米で同じ 1.5%と置いても日本の潜在成長率は 0.5%であり、これをさらに引き上げることは難しい。なお過去 20年間の1人当たり実質GDP 成長率は、アメリカで 1.55%、日本は 0.78%でアメリカより低いが、これは日本においては失われた 10 年といった不況期があったからである。 |
潜在成長率の引上げには人口減少に対する強力な政策が必要だが、出生率を今すぐ引き上げることが出来たとしても、成人して労働力になるのは20年先であり、即効性はない。今すべき政策のポイントは、人口政策として移民政策を位置づけることである。現在は一時的に労働力を導入しようという攻策に止まっているが、むしろ移民として日本に定住してもらえる人材を積極的に受け入れる必要がある。(深尾光洋『財政赤字・社会保障制度の維持可能性と金融政策の財政コスト』2015年) |
◼️大和総研「超高齢日本の 30 年展望 持続可能な社会保障システムを目指し挑戦する日本―未来への責任 」理事長 武藤敏郎 監修 、2013 年5 月 14 日 |
世界で最も高齢化した先進国であり続ける日本が、諸外国との対比でみて低い国民負担率で社会保障を含む広義の政府サービスを維持することは困難だろう。財政赤字問題の主因は社会保障費の増大にある〔・・・〕 これまでの社会保障政策を長期的に振り返ると、引退世代の人数が増える分以上に現役世代の負担率を上昇させながら、引退世代の生活水準を向上させてきた。引退後の生活に余裕と潤いがあるのは素晴らしいことだが、「超」がつく少子高齢化の下では、現役世代 1 人当たりで支えなければならない引退世代の人数が急速に増えるから、引退世代の生活水準を維持するだけでも現役世代の負担が大きく増えていく。そうなれば、これまでのように引退世代の生活水準を向上させることは難しくなる。 〔・・・〕 日本の財政は、世界一の超高齢社会の運営をしていくにあたり、極めて低い国民負担率と潤沢な引退層向け社会保障給付という点で最大の問題を抱えてしまっている。つまり、困窮した現役層への移転支出や将来への投資ではなく、引退層への資金移転のために財政赤字が大きいという特徴を有している。引退世代向けに偏重した社会保障制度をもっと効率化し、一定の負担増を求める必要性は、経常収支が赤字か黒字かとは関係がない。財政赤字の縮小は、政府自身の問題として必要な増税や歳出削減を実施することと合わせて、家計の消費や企業の投資の活発化を同時に進めないと実現しないだろう。 |